米疾病予防管理センター(CDC)によると、今日、米国成人の半数以上が少なくとも1つの慢性疾患を抱えているという。心臓病や関節炎、持続的な精神疾患などの慢性疾患を抱えている人なら、それが大きな孤立感をもたらす場合があることをよくご存じだろう。デジタル時代以前は、慢性疾患が今日のように多くの人に認知されることはもちろん、同様の疾患を抱える他の人とつながることもほぼ不可能だった。しかし、ソーシャルメディアによって、そうした状況は変わりつつある。慢性疾患を抱える多くの人が、同じような状況を経験している人の役に立つことを願い、ソーシャルプラットフォームで自分の体験を語るようになっている。
ソーシャルメディアで健康に関する情報が交わされるようになったことで、慢性疾患に対する考え方、特に当事者の考え方が変わってきた。まず、めったに話題に上ることのない(そして、多くの人がおそらく聞いたことさえない)、いわゆる見えざる病に関する情報が、私たちのデバイスの画面に表出するようになった。次に、これらの慢性疾患を抱える人々が、自分は一人ぼっちではないということ、そして、以前よりもサポートを感じられるツールが存在することに気付きつつある。現在では、かつてない規模で慢性疾患が認識されるようになっている。慢性疾患を抱える多くの人が、これらのプラットフォームを利用して、自らの体験を共有しているからだ。ソーシャルメディアは、さまざまな疾患や、治療の選択肢についての認識を広めたり、同様の症状がある人々を結びつけたりするのに役立つだけでなく、同じ疾患を抱える他の人からの精神的サポートを与えてくれることもある。
「私の経験では、ソーシャルメディアは慢性疾患と障害に革命的な変化をもたらしている」。そう語るのは、Diversabilityのオペレーションズマネージャーを務め、障害者コンテンツクリエイターを名乗るMarie Dagenais-Lewisさんだ。「そのおかげで、私たちは慢性疾患と障害に関するコミュニティーを作り、そこで体験を共有することによって、自分の価値を確認し、サポートや力を得ることができた。また、自分たちが常に排除されてきた世界に、帰属意識を持つこともできた」
慢性疾患に関する情報をオンラインで共有することには、間違いなく危険性もあるが(誰かの健康に影響を及ぼす可能性がある場合は特にそうだ)、多くの人は慢性疾患を抱えて生きていくことに関して、切望していたサポートをFacebookやInstagram、TikTokで見つけている。
歴史的に、世界は、健康上の問題を抱える人や障害がある人々にやさしくなかった。多くの人は、他人から変に思われることを恐れて、慢性疾患を隠したり、それについて話すことを避けたりする。これが原因で、慢性疾患を抱える人々は他の人から孤立することがよくある。ソーシャルメディアによって、その状況が変わった。
近年、FacebookやInstagram、TikTokなどのSNSで、人々が慢性疾患に関する自分の体験を共有することがどんどん一般的になっている。ソーシャルメディアの影響力とその普及範囲のおかげで、以前だとほとんど話題に上らなかったことやタブーだったことが、世界的に普通のことになりつつある。
#chronicillnessというハッシュタグはTikTokだけで50億回以上の閲覧回数を記録しており、クリエイターは、慢性疾患を抱えての生活の様子から、慢性疾患と戦っている知人をサポートする最善の方法まで、あらゆる話題について投稿している。慢性疾患の患者はたくさんおり、これらの経験を共有することで、人々の孤独感が軽減される。
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