SNSが慢性疾患に悩む人々の助けに--広がる共感と疾患の知識 - (page 2)

Nasha Addarich Martínez (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年08月08日 07時30分

 経験の共有を通して対話が始まることで、特定の疾患を抱えて生きることについての認識が深まり、その過程で、その疾患に対する誤った考えが改められる可能性もある。また、新たに慢性疾患と診断された人は、同じ体験をしている人が他にもいることが分かれば、恐怖心が和らぐかもしれない。例えば、自分と同じような精神疾患を抱えている人が他にもいることが分かれば、孤立感が軽減されるかもしれない。

健康に関するリテラシーと教育、支援

 以前だと、慢性疾患に対処する方法を知りたければ、医師や家族の助言に頼るしかなかった。ソーシャルプラットフォームは、患者同士が対話し、疾患や症状の自己管理方法に関する経験や情報を共有できるオンラインの空間を提供することで、病気の自己管理を直接サポートできる。筆者は、こうした教育には3つの利点があると考えている。まず、以前は目に見えなかったことを人々に知ってもらうことができる。次に、病気を患っていない人が患者に対する理解を深めるのに役立つ。最後に、一般的なものだと思っていた症状が、自分の知らなかった基礎疾患を示している可能性に気づきやすくなる。

 慢性疾患を抱える人々は、これらのプラットフォームを使用して、症状への対処方法をアドバイスしたり、診察中の医師に尋ねるべき有用な質問に関する洞察を与えたりしている。コミュニティーとつながることで、より早く診断を受けたり、さまざまな治療の選択肢について知れたり、自分のニーズを大切な人に伝えたりすることが容易になる

 ソーシャルメディアが病気を診断するのに適した手段である、と言っているわけではない。医療専門家は、ソーシャルメディアを通じた自己診断の潜在的な危険性について警告している。それでも、ソーシャルメディアは自己認識を高め、今まで気づいていなかった可能性のある症状を認識する有効な手段になり得る。自分は病気かもしれないと思っているのなら、必ず医師に相談すべきだ。

 インターネットユーザーの10人中8人は、健康に関する情報をオンラインで検索している。また、推定74%はソーシャルメディアも使用している。医療提供者と医療機関はソーシャルプラットフォームの普及範囲を活用し、慢性疾患の治療の選択肢や症状、さらには自己管理の方法について、フォロワーを教育している。医療専門家が、これらのプラットフォームを通して広まった誤情報や俗説を正すこともできる。

 多くの人は、これらのプラットフォームを支援のツールとしても使用している。それらを使って、募金活動などの地元の取り組みに参加したりすることができる。ソーシャルメディアが支援活動をより大きな規模でサポートし、グループがオンラインで組織化して、大きな問題を前面に押し出すことができた事例もある。目的が特定の問題への認識を高めることであれ、治療薬や治療法の研究のための資金調達であれ、患者に恩恵をもたらす政策変更の支援であれ、ソーシャルメディアは人々を結びつけるという点で、極めて強力なツールだ。患者や公衆衛生教育者も、支援キャンペーンの普及範囲の拡大とコスト削減のために、ソーシャルプラットフォームに目を向けている

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