コロナ禍の2年間で就活はどう変化したか?--22卒、23卒、24卒学生の動向総まとめ

草深生馬(RECCOO CHRO)2022年07月12日 09時00分

 コロナ禍により、大きく変化した新卒採用市場。オンライン就活元年の2022年卒からコロナネイティブと呼ばれる2024年卒までの就活動向の変遷を、Google人事部で新卒採用を担当していた草深生馬(くさぶか・いくま/現RECCOO CHRO)が、2回に分けて解説します。

オンライン中心の就活が当たり前になったコロナネイティブ世代

 コロナ禍という歴史上稀にみる大事件が起きて以来、新卒採用の市場も大きく変化しました。コロナの真っ只中で就活を行っていたのが2022年卒業の学生で、そこから3学年目の2024年卒が現在、就活時期に入っていますが、2022年卒、2023年卒、2024年卒とそれぞれの就活動向に異なる特徴が見られます。

 まず、タイトルの「コロナネイティブ」ですが、これは2024年卒の学生を指します。というのも、彼らは入学時にコロナ禍がすでに始まっていて、サークル活動もできず、先輩・後輩という縦の繋がりがなく、コロナ禍以前の「従来の就活」を知りません。先輩たちの就活の様子を見て、「今までの就活はこうだったのに、コロナのせいで自分たちはそれができなかった」と言っていた上の世代と違って、コロナ禍でのオンラインを中心とした就活が当たり前になったのが、2024年卒なのです。

コロナ禍で採用市場が大混乱し、“焦り”の就活を行った2022年卒

 まず、2022年卒ですが、就活が始まる頃にコロナ禍が起こり、経済そのものが停滞し、企業が採用数を縮減したり、中には採用を一旦止めるところまで出てきました。学校もオンライン化、自宅待機となったため、先輩たちの就活の様子を見たり、サークルあるいはバイト先などで就活情報の交換をしたりすることができなくなった。口コミの情報がなくなった上にメディアからは「採用縮減」、「採用活動を停止する」というニュースが入ってきて、就職氷河期が来るのではないか、という不安、恐怖感が煽られるような状況でした。

 また、一つ上の2021年卒が最終選考に差し掛かる頃にコロナの大きい波がやってきて、企業が採用活動を自粛したため、先輩たちが内定をもらえないうちに、自分たちの就活が始まったことでさらに焦りを感じたようですね。

 その結果、インターンシップや説明会にできるだけ多く応募しようとする学生が増えました。オンライン化で参加者の人数制限が緩和され、時間や場所の制約が減ったこともあり、なかには二つのモニターを使って2社の説明会に同時に参加する学生までいたそうです。対面の説明会は受入れ数が減り、説明会を一切しないという会社も出てきたので、限られた採用のチャンスに、焦りを感じた学生たちが集中した観があります。

 企業側からすれば、企画を打ち出せば学生がたくさん集まるバブルの様相でしたが、多くの学生が、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)がないなど、就活準備がちゃんとできていない状態でした。その結果、コロナ禍の混乱の中でも自分の足で動き、考え、準備を整えた優秀な学生に内定が集中し、企業側は就活生との接点は例年以上に持つことができたが、オファーを出せる学生は少なく、出しても受諾してもらえない例が多かったという具合です。

 総じて、採用時期が全体的に後ろ倒しになり、例年なら大手でも6月には終わるところが、8月頃まで長引きました。これが、オンライン就活元年の状況でした。

通常のトレンドに戻った2023年卒の就活動向

 次の学年である2023年卒はコロナ下でもぎりぎり、先輩と繋がりがある世代なので、2022年卒の就活の様子を知ることができました。おかげで、焦ることもなく、余裕を持って就活に取り組めたようです。

 「ニュースではコロナによる内定取り消しが取り上げられたけれど、事例としてはほんの数社で、先輩たちはずっと就活を続けていた。企業側も色々なイベントを用意し、8月まで二次募集、三次募集が行われていた。結局、就職氷河期でも何でもなく、就活サイクルが少し狂っただけだ」と彼らは理解したのです。その結果、2023卒は、夏にインターンシップに参加して、それから就活を始めるという通常のトレンドに戻りました。

 ただ、コロナ禍の影響で、大学での勉強やサークル活動、課外活動などが満足にできなかったために、「ガクチカ」を用意できなかった学生たちが急増したことが、これ以降現在まで続く大きな懸念です。採用企業からしても、ガクチカを掘り下げることで学生理解を深めるのが一般的ですから、企業側にとっても大きな悩みの種となっています。

 また、もうひとつの重要な傾向として、2023年卒はコロナ禍などで揺るがない、基盤のしっかりした安定企業を目指す「大手志向」が非常に強くなりました。

2023年卒の採用市場で苦戦したベンチャー企業

 新卒採用市場では、外資、日系大手、ベンチャーの3大ジャンルが存在しますが、2023年卒の就活時期から採用に苦戦し始めたのが、ベンチャーです。

 ベンチャーはフットワークが軽いので、コロナ下でオンラインへの切り替えがスムーズでした。一方の日系大手は Zoomなどビデオ会議ツールの導入一つ取っても時間がかかって、オンライン化に出遅れた観があり、当初はベンチャーの優位性が感じられました。

 ところが、2023卒の就活が始まる頃にはベンチャーから大手までほとんどの企業のオンライン化が整い、前年度に比べてオンライン上の就活イベントが増え、しかも、それが早い時期から行われるようになったのです。

 今までの就活サイクルは、夏にインターンシップが催され、次いで、外資、ベンチャー、大手の順番で段々と募集受付やイベント開催が進行するという流れでした。

 動きの早いベンチャーは、優秀な学生と自由に早い時期に接点を持ち、中には2年生の10月くらいにコンタクトするケースもあったようです。ベンチャーは企業規模が小さくて採用人数も少ないので、一人一人に手厚くパーソナライズされたイベントを企画することも可能です。リクルーターが、「何でも相談に乗るから」と声をかけ、早い時期に個人的に繋がり、企業のファンになってもらうことによって、後から追い上げて来る大手と戦うという戦略でした。

 ところが、2023年卒の就活時期からは、オンラインを活用しながら大手も早期に動き始めました。優秀な学生を取るためには、夏のインターンシップに接点を持ち、後のイベントや、面接を通して関係をだんだん深めて行く、つまりサマーの時期が勝負時、とベンチャー、外資、大手が同時に動き始める戦国時代に突入したのです。学生側も10以上のインターンシップにエントリーするのが当たり前、というような忙しいサマーだったようですね。

 ベンチャーは、就活サイクルでの優位性を失い、さらに2023年卒は安定志向、大手志向の強い世代だったので、かなり苦戦しました。そして学生側は、今までのベンチャー、外資、大手という区切りではなく、業界で区切って就活するようになり、これも2023年卒の特徴のひとつです。

コロナネイティブと呼ばれる、特異な2024年卒

 コロナネイティブと呼ばれる2024年卒は、入学した時からコロナ禍の中でオンライン授業を受け、教授と直接顔を合わせたことがない、友達ともなかなか会えないのが当たり前という学生たちです。

 大学の先輩との関係性において、2022年卒は、コロナ禍のせいで一つ上の2021年卒とは全く異なる就活をすることになり、大変焦っていました。2023年卒は先輩たちが焦っていた割には、結局、就活市場が普通に動いているのを見て落ち着いていました。一方、2024年卒は、上との関係性において完全に断絶している、先輩たちから全く影響を受けていない特異な世代です。

 次回は、このコロナネイティブと呼ばれる2024年卒の就活動向と採用の対策について解説します。

草深 生馬(くさぶか・いくま)

株式会社RECCOO CHRO

1988年長野県生まれ。2011年に国際基督教大学教養学部を卒業し、IBM Japanへ新卒で入社。人事部にて部門担当人事(HRBP)と新卒採用を経験。超巨大企業ならではのシステマチックな制度設計や運用、人財管理、そして新卒採用のいろはを学んだのち、より深く「組織を作る採用」に関わるべく、IBMに比べてまだ小規模だったGoogle Japanへ2014年に転職。採用企画チームへ参画し、国内新卒採用プログラムの責任者、MBA採用プログラムのアジア太平洋地域責任者などを務めるかたわら、Googleの人事制度について社内研究プロジェクトを発起し、クライアントへの人事制度のアドバイザリーやコンサルテーションを実施。

2020年5月より、株式会社RECCOOのCHROに着任。「才能を適所に届ける採用」と「リーダーの育成」を通して日本を強くすることをミッションに掲げる。現在は、スタートアップ企業の組織立ち上げフェーズやや、事業目標の達成を目的とした「採用・組織戦略」について、アドバイザリーやコンサルテーションを提供している。

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