仮想通貨取引は本当に匿名なのか - (page 2)

Julian Dossett (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年06月28日 07時30分

仮想通貨をどうやって追跡するのか

 米国政府は仮想通貨関連の犯罪に目を光らせており、仮想通貨による不正な支払いを追跡するために警察が利用するツールも高度化している。これは、この種の取引が匿名ではないことを意味している。しかし、仮想通貨を利用した犯罪を防ぐ体制が強化されていることとは別に、米国人の場合はもっと単純な理由から、この種の取引を匿名で行うことは難しい。

 仮想通貨取引はブロックチェーンに記録されるが、このブロックチェーンは通常、公開されている。一方、仮想通貨取引は必ずしも個人情報とひも付けられていないため、利用者は多少の匿名性は確保できる。ビットコインで直接購入できる商品やサービスもあるが、通常はビットコインを現地の法定通貨に変換してから支払わなければならない。そして、米ドルに換える場合、取引内容は明確に記録される。米ドルは米国政府が管理する通貨であり、厳しい規制下にあるからだ。

 「ビットコインであれ何であれ、仮想通貨で買い物をするためにはおそらく、どこかのタイミングで仮想通貨をドルに換金しなければならない」と、Gordon氏は言う。

 ビットコインをドルに換えるためには、仮想通貨取引所や送金サービス、特定の銀行など、この種のサービスを提供している企業を見つける必要がある。こうした企業は通常、「Know Your Customer(KYC、本人確認)」の原則を遵守しているため、まず本人確認を済ませなければサービスを利用できない。「ビットコインがどれだけ匿名性や擬似匿名性を確保しようと、ビットコインをドルに換えるサービスは匿名ではないため、取引はいかなる意味でも匿名にはならない」と、Gordon氏は言う。

疑わしい仮想通貨取引が通報される仕組み

 KYC(本人確認)は、マネーロンダリングなどの金融犯罪を防止するために金融サービス業界が取り入れた基準だ。例えば、米国連邦預金保険公社(FDIC)に加盟している金融機関は、疑わしい取引を特定し、当局に報告するための「顧客リスクプロファイル」を作成し、顧客との関係を明確化することを義務付けられている。

 つまり銀行をはじめとする金融機関は、預金保険に加入する条件として顧客の個人情報を預かる義務を負っている。仮想通貨はFDICの保険対象ではない。しかし米国で運営されている仮想通貨取引所はKYC基準を順守しており、CoinbaseFTX.USはどちらも顧客に本人確認を要求している。なおFDICは現在、他の規制当局とともに暗号資産に関する新たな法律の制定を検討している。

匿名性を完全に確保できる仮想通貨はあるか

 完全に匿名で取引できると豪語する仮想通貨もあるが、この手の主張は疑ってかかるべきだ。

 「フォレンジック分析を用いれれば、必ず調べはつく」と、Hou氏は言う。「率直に言って、取引は100%匿名だと言い張る仮想通貨があっても信じるべきではない。話半分で聞くことだ」

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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