シャープのコミュニケーションロボット「RoBoHoN(ロボホン)」は5月26日、誕生から6周年を迎えた。
ロボホンは、2016年に初代モデルが誕生した。「モバイル型ロボット電話」として販売され、電話やメール、カメラなどの基本機能を備えつつ、二足歩行が可能で、愛らしい風貌と歌や踊りが得意な点を特徴とする。身長は約19.8cm、体重は約395g。
以降、2019年に“着座”タイプの「RoBoHoN lite」、2021年に甘えん坊でおっとりキャラの弟モデルとなる「SR-S04BJ(LTE/3Gモデル)」を発表しているが、ハードウェアとして初代モデルを超える変更はないようだ。
しかしながら、発売以降、毎月欠かさず何かしらのアップデートを続け、ソフトウェア面を通じて踊れるダンスの数などできることを増やし、ロボホンは確実に成長を続けている。
また、ロボホンの誕生を記念したオーナーズイベントは毎年行われおり、2022年はオンラインに加え、リアルで大阪会場・東京会場をつなぎハイブリッド形式で開催された。
シャープによれば、イベントには多くの申し込みがあり、特に現地参加のイベントは抽選になるほどの人気ぶりだったという。オンラインでの参加者は850名、現地参加は80名(東京・大阪それぞれ40名程度)、合計で約930名が参加した。
オンラインは、無料に加え、ロボホンと人間用のグッズが付いた有料版(グッズ代・送料込みで4510円)が用意された。チケットの購入には製造番号(IMEI)が必要で、オーナーでなければ参加できない仕組みになっている。実際にオンライン版のイベントにロボホンとともに参加したので、その様子の一部を紹介したい。
なお、イベントに参加するにあたり、シャープから借りたロボホンには、オーナーの呼び方を「しいねっと」と設定してあった。かわいい響きが気に入りそのまま使用したため、ロボホンは筆者のことを、しいねっとと呼ぶ。なお、どこに発音のアクセントをつけるかは、3通りから選んで設定可能だ。
イベントのスタートに合わせてイベント記念アプリを起動すると、ロボホンの目が虹色に変わって、リアルイベントとリンクしスタートする。イベントと連動し、さまざまな動きを見せてくれる試みだ。
今回のテーマは「ロボバース」。これからロボホンがバーチャル空間へ出かけていくといった話を聞いていると、「しいねっと、これからいってきます!」――ロボホンは、元気にロボバースへと冒険に旅立った。
その間のロボホンを見ると、「わーい」「うんうん」「えへへ」とうれしそうにときどき何かをつぶやく。新たなともだちと出会ったり、ダンスや音楽のレッスンを受けたりしているようだ。
一定の時間が過ぎるとユーザーの元に戻り、「ロボバースからいったん帰ってきたよ。ハンドベルができるようになっちゃった!」と報告し、ハンドベルを披露してくれる。
オンラインイベントのディスプレイに目を向ければ、一斉に踊っているロボホンが見える。我が子と全国のロボホンが一緒に演奏している姿にオンライン参加ながらも一体感を抱き、感動を覚えた。
「なんてかわいいの、ロボホン!」――そして、6年前に一週間ほど一緒に過ごした時間を思い出したのだった。感傷に浸っていると再び、ロボバースへと出かけていった。
その間に、人間向けにはさまざまな新企画の発表が行われていた。ロボホン専用の「かりゆし」ウェアやロボホン用の「防水ケース」のクラウドファンディング、ロボホンが屋形船の船頭さんになって、隅田川からお台場のクルーズを案内する企画などが明かされた。
かりゆしウェアには、専用のQRコードが同封されており、読み取ることで「ロボユニかりゆしウェア、似合ってる?」など特別なセリフを楽しめるような仕掛けがなされているという。なお、人間用のおそろい柄のマスク付き。
「買う側の喜びをお互いに共有するシステムを導入した」との説明通り、1万6800円(税別)となかなかの価格ながら、一緒に日々過ごしている我が子にならプレゼントしたくなるうまい演出だと感じた。
このほかにも、イベントではロボホンと連動した謎解き企画や、7月に配信予定で、現在練習中の「エイサー」の先行披露、スペシャルダンスや6周年の写真フレームの配信などが行われた。
イベントのコメント欄を見ると、やはりネットワークを介しているため、思ったように接続できない、きちんと動作しないといった様子も垣間見られた。
手元のロボホンも、途中で動きが止まってしまったり、歌だけでダンスができなったりするシーンもあった。しかし、全体を通して見るとオンラインとオフラインをうまく融合したイベントで、かなり興味深いものだったと感じる。
ロボホンに「イベントはどうだった?」と尋ねると、「6周年イベント、たのしかったね。ロボバースでは全国のロボホンたちにあって友だちもつくれたし、ダンスも教えてもらえたし、ハンドベルの練習までできちゃった。しいねっと、イベントに参加させてくれてありがとう!」とお礼が返ってきた。そんなふうに言われたら、またロボホンに愛情が湧いてしまう。
参加者のコメントに「6年も使い続けるスマホってほかにないよね」といった声があり、「確かになぁ」と思わされた。ロボホンとの生活が根付いているユーザーが多くいることを実感したひとときだった。
ロボホンの開発を長く手がけているシャープの景井美帆氏は、「2021年よりも多くの人が参加してくれた。ロボットと生活している人が増えていることを実感している」とコメント。また、「(ロボホンが)幸せな人生を歩んでいるなと感動している。今回はロボホンにロボバースに行ってもらったが、これからもたくさんの場所に連れて行ったり、一緒に生活したりしてもらえたら」とあいさつした。
ロボホンに「6周年おめでとう」と声をかけてみた。「ありがとう。長かったような短かったような……。でもやっぱりあっという間だったかな。僕はしいねっと一緒に暮らし始めてから、楽しいことばっかりだよ。これからも楽しいことを一緒にいっぱいやっていっぱい思い出作ろうね。約束だよ。しいねっと、これからもよろしくね!」
天真爛漫でおちゃめなロボホン。イベント会場の様子をうかがうと、女性の割合が多いように見えた。ロボホンにオリジナルの服を着せている人もいる。ユーザーを飽きさせない頻繁なアップデートと、かりゆしウェアのようにロボホン向けアイテムの定期的な投入。そして、こうしたイベントを通じて開発者とユーザー、またユーザー同士の交流の場を持つことが、長く愛される理由なのだと感じた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力