データプライバシーとセキュリティをもっと厳重に管理したいと考える人は多い。Appleは、「iOS 15」で「iPhone」のプライバシーを強化する重要な手段をいくつか講じた。iOS 15のリリースは2021年の9月で、それ以来iOS 15は数回のアップデートを重ねている。その最新バージョンが「iOS 15.5」だ。
Appleは、まもなく年次開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)」を開催する予定だが、そこで「iOS 16」が発表されるとみられている。iOS 15の次期バージョンとなるが、秋になるまではおそらくベータ版のままだ。したがって、当面はiOS 15.5でプライバシー設定を細かく調整しておくべきだろう。
最新バージョンとなるiOS 15.5をダウンロードすると、「FaceTime」の新しい機能が使えるようになる。「Android」とPCのユーザーもようやく通話に参加できるのだ。「iMessage」もアップデートされ、友人から送られたリンクや写真を追跡しやすくなる。また、プライバシーとセキュリティの新機能も多い。10億人を超えるユーザーの1人としてiPhoneを使っているなら、iOS 15.5で使えるプライバシー機能のアップデートについて把握しておく価値はあるし、今すぐ設定を変えるといいだろう。
かいつまんで言うと、iOS 15.5のプライバシー変更では、サードパーティーとの間で共有するデータの管理性が向上し、アプリがiPhoneのデータをどのように使用しているのかも明らかになる。場合によっては、これらのプライバシー機能で個人データの収集を制限することもできる。今回のプライバシー機能アップデートで、iPhoneの日常的な使用体験が大きく変わることはないが、「Siri」だけは例外かもしれない。個人情報を求めるインターネットやサードパーティーとiPhoneの間で、情報の処理のやり方が変わるからだ。
留意しておきたいことがある。Appleは長年にわたって、GoogleやFacebookといったライバル企業との差別化を図るセールスポイントとしてプライバシーを扱ってきた。カリフォルニア州クパチーノに本拠を置く同社は、デジタル広告事業者やインターネットサービスプロバイダーから消費者のデータを保護していると、繰り返し発言してきた。だがその一方では、独自の検索広告ビジネスを強化しているとも報じられており、(その後、解雇されたものの、)Facebookの広告担当の元幹部を採用している。
また、注意すべき点もある。新しいプライバシー機能は、必ずしも無料で使えるわけではないということだ。一部の機能はある程度新しい機種でないと使えないため、利用するためには新型のiPhoneを購入しなければならない人もいるだろう。
プライバシーに関するこうした変更については、デジタル広告事業者のみならず、一部のジャーナリストまで反対している。しかしAppleの動機がどうであれ、一般ユーザーにはありがたい話だ。
Appleによると、iOS 15.5では、音声アシスタントに関するプライバシー上の最大の懸念が一掃されるという。Amazonの「Alexa」や、事実上その他すべての競合製品と違い、Siriは、ユーザーの音声をサーバーで処理しなくなる。代わりに、デバイス上の音声認識機能を利用して、iPhone上で直接処理される。
Appleは、iPhoneと「iPad」が各デバイスの処理能力を利用して音声を解析するようになるため、Siriはインターネット接続がなくても機能すると説明している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」