Googleは、インターネットに接続するサーモスタットからスマートフォン、スピーカー、テレビドングル、ノートPCまで、あらゆるものを作っている。まもなく、スマートウォッチと拡張現実(AR)グラスがその仲間入りを果たす。なぜこれほど多種多様な製品を開発するのだろうか。Googleにとって、その答えは簡単だ。同社は、ユーザーが介入する必要性の低いテクノロジーを作りたいと考えている。
Googleは米国時間5月11日、年次開発者会議「Google I/O 2022」で、コンピューティングの未来に関するビジョンを語った。その戦略の大部分を担っているのが、同社ガジェットのラインアップの拡充だ。Googleによると、それらのガジェットは、同社が掲げる「アンビエントコンピューティング」の目標を前進させるものだという。Googleは、自社のデバイス同士が連携する仕組みを説明するときによくこの用語を用いる。アンビエントコンピューティングは、2022年のI/Oの焦点となった。
しかし、Googleのアプローチには皮肉な要素もある。これらの新製品の背後にある目標は、テクノロジーを利用する際に操作の必要性を少なくすることで、ユーザーの負担を軽減することだ。これらのガジェットはインテリジェントに相互通信し、人間がそれほど介入しなくてもユーザーのニーズを予測できる、とGoogleは主張している。しかし、そうした利点を享受するには、より多くのGoogle製ガジェットを導入する必要がある。
Googleのデバイスおよびサービス担当シニアバイスプレジデントのRick Osterloh氏はI/Oの壇上で、「マルチデバイスの世界では、人々はテクノロジーの操作に時間を取られることを望まない」と語った。「アンビエントアプローチでは、テクノロジーに煩わされることがないので、ユーザーはテクノロジーの助けを借りながら、人生を楽しむことができる」
Googleはこれまで、I/Oの基調講演の場を利用して、「Android」や「Googleマップ」「Googleアシスタント」「Googleフォト」などのソフトウェアプラットフォームおよびアプリの重要なアップデートを発表してきたが、11日はソフトウェアの改善以外にも多くの発表があった。I/Oでガジェットが披露されたことは過去にもあったが、11日の基調講演では6種類のハードウェアが新たに発表された。具体的には、2種類の新型スマートフォン(「Google Pixel 6a」と「Google Pixel 7」)、同社初のスマートウォッチ(「Google Pixel Watch」)、新しいイヤホン(「Google Pixel Buds Pro」)、新しいハイエンドのタブレット「Pixel Tablet」、ARグラスが披露された。実に多種多様なガジェット群だ。このことは、Googleのハードウェアがいかに重要な存在になったのかを浮き彫りにしている。
市場調査会社International Data Corporation(IDC)のリサーチディレクターであるRamon Llamas氏は、「そうそうたるガジェット群になった」と話す。「そして、エコシステムには、人々を引き寄せるだけでなく、そこにつなぎ止める、そうそうたるアプリ群もある」
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