Twitterが一部の人々の声を検閲しているのか疑問を投げかけたのは、Musk氏が最初ではない。保守派の人々は、Donald Trump前米大統領の支持者による2021年1月6日の米議会襲撃事件を受けてTwitterが同氏のアカウントを停止したことを批判した。しかし、Dorsey氏はこの判断を擁護している。一部のTwitterユーザーはMusk氏に対して、Trump氏のアカウント復活を求めている。Twitterは、Trump氏が暴力を扇動するおそれがあるとして、同氏を追放した。
信仰や表現などの自由を定めた米国憲法修正第1条はTwitterなどの民間企業には適用されない。民間企業は、どういった表現が認められるのかという問題について、自分たちでルールを作ることができる。2020年、当時Twitterの最高技術責任者(CTO)を務めていたAgrawal氏がMIT Technology Reviewに語ったところによると、同社の役割は「憲法修正第1条に縛られることではなく」、「一般の人々の健全な会話に寄与する」ことであるべきだという。
Musk氏や取締役会がコンテンツモデレーション(投稿監視)にどの程度の影響を及ぼすことができるのかは、不明だ。Twitterによると、同社の方針は取締役会や株主によって決定されるものではなく、既存の方針を覆す予定もないという。とはいえ、取締役は同社のすべてのサービスに関して、助言やフィードバックを提供する重要な役割を果たす、と同社は述べている。
一応言っておくと、Musk氏のツイートも物議を醸すことがなかったわけではない。Musk氏は2020年、新型コロナウイルス(COVID-19)に対して「子供には基本的に免疫がある」という誤った内容のツイートを投稿し、新型コロナウイルスに関する有害な偽情報を禁止するTwitterのルールに違反したと非難された。実際には、子供も新型コロナウイルスに感染することがある。Musk氏のツイートは「確定的」ではないので、ルール違反には当たらない、とTwitterは米ニュースサイトのAxiosに対して述べた。
仮想通貨詐欺はTwitterの悩みの種であり、Musk氏も個人的に影響を受けた問題だ。
仮想通貨をだまし取るために、詐欺師らがさまざまなソーシャルメディアサイトで偽のアカウントを使ってMusk氏になりすます事案がこれまでに幾度となく発生している。2020年、Musk氏のアカウントは、ビットコイン詐欺のためにハッキングされた有名なTwitterアカウントの1つに数えられていた。
Musk氏は2022年1月、Twitterが仮想通貨の詐欺ボットへの対抗措置を講じるのではなく、NFT(Non-Fungible token、非代替性トークン)を紹介するプロフィール写真などの製品に時間を費やしている、と不満を漏らした。
This is annoying pic.twitter.com/KAkDl29CTX
— Elon Musk (@elonmusk) January 21, 2022
「Twitterがこのようなくだらないことにエンジニアリングリソースを費やしている間にも、仮想通貨詐欺師らはあらゆるスレッドでスパムボットのブロックパーティーを開催している」(同氏のツイート)
同氏は先日も同様の不満を吐露し、これらのボットについて、Twitterで「最も厄介な問題」であるとツイートした。
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