方向を示すマーカーが連なり、小さな緑色の線となって視界に浮かび上がる。筆者が向きを変えると、どの方向が北かを示してくれる。これらはコンタクトレンズに搭載された小さなマイクロLEDディスプレイに投影されており、コンパス上に表示される。レンズは支え棒で筆者の目の前に固定されている。
ディスプレイ内蔵型スマートコンタクトレンズ「Mojo Lens」について、新たなプロトタイプが発表された。パンデミック発生前、世界最大級の家電・技術見本市「CES 2020」で、筆者も以前のバージョンを試したことがあるが、開発元のMojo Visionによると、最新バージョンのMojo Lensは社内でテストができる段階にようやく到達したという。
筆者は数週間前、マンハッタンのミッドタウンにあるオフィスビルで、Mojo Visionが手掛けるスマートコンタクトレンズの最新プロトタイプをテストした。同社はそのとき、社内開発の次の段階に向けて準備を進めていた。Mojo Lensはまだ日常的な使用の承認を得てはいないが、開発は順調に進んでいる。
Mojo Visionのテクノロジーはある意味で拡張現実(AR)だが、読者の考えるARとは異なるかもしれない。ハードコンタクトレンズに搭載された緑色の単色ディスプレイは、文字や基本的なグラフィックのほか、いくつかのイラストも表示できるが、どちらかというとスマートウォッチのように機能するように設計されている。また、加速度センサーとジャイロスコープ、磁気センサーによって、前回は試した時にはなかったアイトラッキング(視線追跡機能)も可能になっている。
カメラを使用して目の動きを感知するVRグラスやARグラスのアイトラッキング技術と異なり、これらのレンズは実際に眼球に装着され、ユーザーの目の動きを追跡する。Mojo Visionの幹部によると、センサーの精度はスマートウォッチと同様の正確さで、VRグラスやARグラスよりも正確に動作を計算できるという。Mojo Lensはまだ眼球への装着を承認されていないので、筆者は実際には目に装着せずに、レンズを目に非常に近い位置に固定し、頭を動かしてトラッキング効果を確認した。
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