多くの点で、このレンズはNorth(2020年にGoogleに買収された企業)が作った「Focals」というスマートグラスを思い出させる。Focalsは、小型LEDディスプレイをレンズから網膜上に反射させて投影することで情報を確認する小型の装置だったが、アイトラッキングの機能はなかった。Mojo Lensでは、周囲に視線を動かすと情報が映し出されるので、まるで頭の中にスマートウォッチがあるみたいだ。「Google Glass」とも似ているが、やはり違う。明るいディスプレイは、焼き付いた光のようにしばらく空中に残り、それから消える。
リング状のインターフェースは、前回Mojo Visionのデモを体験したCES 2020で見た、VRヘッドセット「VIVE Pro」によるアイトラッキングのシミュレーションと似ている。リングの周囲に並んだ小さなアプリアイコンに視線を動かし、そのまま数秒待つとアプリが開く。縁に視線を向けると、視野の周囲にあるリングが現れ、ウィジェットが表示される。
表示された旅行用のアプリでは、フライト情報の検索画面のシミュレートと、自分の座席の位置を示す小さいグラフィックが表示されている。視線を動かすと、別のウィンドウが見える(Uberの配車情報、搭乗ゲートが示される)。別のウィジェットでは、ディスプレイにフィットネスデータ(心拍数やラップ情報など、スマートウォッチと同じような内容)のポップアップが表示される様子を映していた。さらに別のウィジェットには、画像が浮かび上がる。緑色で描画された、ベイビー・ヨーダ(グローグー)だ。同じ「スター・ウォーズ」からはおなじみのハン・ソロの姿もある。こうした画像を見ると、ディスプレイが画像や文字を映し出すのに十分な画質であることが分かる。また、テレプロンプターとしてディスプレイに文字を表示して、読み上げることができる。アプリから目を離し、視線がリングの縁から外れると、眼前の情報はまた見えなくなる。
正しい動かし方を見極めるのは簡単ではないが、今は本来の想定どおりにレンズを使っているわけではない。眼球に装着していれば、目の動きに合わせて動き、インターフェースをそのままコントロールするはずだ。今は装着していない状態なので、頭を上下に動かさなくてはならない。Mojo Visionによると、実際に眼球に装着すればディスプレイはもっと存在感があり、視野いっぱいになるのだという。それは確かにそうだろう。今は、手に持って目から少し離した位置に構えているだけだからだ。本来なら、Mojo Lensのディスプレイは瞳孔の真上に位置しているはずで、狭いディスプレイウィンドウは、網膜の中心、つまり最も繊細な視野の中心にぴったり重なることになっている。リングから視線を外すと、アプリが閉じるか別のアプリが開くようになっている。
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