カナダのオタワに住むNicole Anna Rutkowskiさんも、ウクライナで起こったとされる激しい爆発を撮影したある動画をTwitterで見て「ショックを受け」た。一瞬、その動画が「本物かもしれない」と思ったのだ。
しかし、オタワ大学の博士課程で臨床心理学を学んでいるRutkowskiさんは最近、ソーシャルメディアで見るものに以前より懐疑的だ。特にそうなったのは、カナダ国内でロシア製のボットが誤情報を拡散しているという記事を読んでからだった。
「私は懐疑的にものを見るようになったし、(この動画を)見せたときのパートナーも同じ反応だった」、とRutkowskiさんからのメールには記してあった。この動画を疑ったのは、主流の報道機関がどこも流していなかったからだった。しかも、ウクライナで撮影した映像だとした投稿者のアカウントが、流暢な英語を使っているのにも「違和感」があったという。
Rutkowskiさんの直感は正しかった。このTwitter動画はFacebookでファクトチェックにかけられた結果、2015年に中国の天津で起こった爆発の古い映像だったと判明したのだ。ロシアによるウクライナ侵攻とは無関係だとReutersは報じている。Rutkowskiさんによると、問題の動画を中国で起こった爆発と結び付けることができたのは、別のTwitterユーザーがそうリプライしていたからだという。
「自分でもこの爆発について検索したところ、全く同じ動画が見つかった。私はその男性に触発され、この動画をシェアしているたくさんのアカウントに、天津であった爆発事故に関するWikipedia記事のスクリーンショットを添えて、これはフェイクニュースだと指摘した」(Rutkowskiさん)
動画に対するリプライを確認するのは、古い映像かどうか確認できる方法のひとつだ。ただし、誤解を招く動画をシェアしているTwitterユーザーが、リプライを非表示にしたり、リプライできる人を制限したりしている場合もある。Twitterがこの機能を追加したのは、悪用やスパム投稿への対策という目的もあった。
23日に@Bajrangi_lamaというユーザーが投稿したツイートは、ウクライナ陸軍がロシアのジェット機を撃墜したという内容だった。このユーザーは、これが古い映像だと指摘するリプライを非表示にしていた。非表示になっているリプライでも、投稿日時の隣にあるグレーのアイコンをクリックすれば見ることができる。@Bajrangi_lamaにはコメントを求めたが、回答は得られていない。
リプライを非表示にするこの機能が悪用され、誤情報の拡散を助長しているのではないかとTwitterに問い合わせたが、回答は得られなかった。
Facebookは、ルールに反するコンテンツは削除すること、第三者のファクトチェッカーと協力して誤情報の発見に努めていることを発表した。ファクトチェッカーによって虚偽と評価された情報は、人の目に触れにくいように、フィードで表示順位が下げられる。また、虚偽のコンテンツには警告ラベル、国の支配下にあるメディアにも、それとわかるようなラベルを適用している。Facebookの広報担当者は、「われわれは、同地域における当社サービス上の誤情報拡散に対処する大掛かりな対策に取り組んでおり、社外専門家との協議も続けている」と述べている。
TikTokの広報担当者は、同社の誤情報に関するポリシーに反する誤解を招く動画は削除すると話している。
Caulfield氏によれば、危機的な世相になると、ソーシャルメディアのユーザーは、友人やフォロワーの間で誰よりも早くコンテンツを共有しなければというプレッシャーを感じることが多く、その結果として「いくつもの不適切な判断」を下してしまうのだという。だが、ソーシャルメディアで見かけたどんなコンテンツだろうと、各ユーザーはそれがどこから発信されたのか、検証は済んでいるのかを問うべきだ。「そして、そうした疑問の答えが見つからない場合は、すぐにシェアするべきではない」(同氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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