パナソニック 空質空調社は1月31日、2021年10月の新体制発足を受け、事業戦略発表会を開いた。新たなブランドスローガン「空気から、未来を変える。」を策定したほか、空調、換気、除菌、脱臭、加湿機能を搭載した業務用空質空調連携システムを発表した。
パナソニック 空質空調社は、空調事業と空質事業という歴史の異なる2つの事業会社と事業部門を融合したもの。「空質と空調事業に関連すべての機能を集結し、お客様へのお役立ちをさらに高めていく。開製販の方向性を一元化することで、お客様との接点強化、事業強化に努める。空気質はお客様の関心が高まっている部分。上質な空気が求められており、その要望に応えるためには2つの事業の融合が重要と判断した」とパナソニック 空質空調社社長の道浦正治氏は設立の狙いを話す。
事業領域は、空質事業の換気送風機器、空質家電、環境エンジニアリングから、空調事業の電気空調、ガス空調・吸収式冷凍機、温水システムまでと幅広い。アクティブ型浄化(ナノイー・ジアイーノ)や遠心破砕加湿、省エネに結びつくロータリー技術など、強みとなるコア技術も数多く持つ。道浦氏は「パナソニック独自の付加価値を提供していく」と強調する。
現在、北米、欧州、日本、中国などグローバルに拠点を構え、製造開発拠点は19、販売、エンジニアリング拠点は12にのぼる。「成長エンジンとなるのは海外。特にさまざまなレギュレーションが発信されている欧州は最重視地域と考えている。現状の販売比率は国内と海外で半々のイメージだが、2025~2030年にかけて、海外の比率がぐっと大きくなると予想している」(道浦氏)と海外展開について触れた。
今後はブランドスローガン、空気から、未来を変える。の下、「空気から、安心安全を。」「空気から、社会に活力を。」「空気から、健やかな地球を。」と3つの価値を提供していく方針。ユーザーターゲットは、B2Cの一般ユーザーのほか、不動産オーナーや施工会社などB2Bも見据える。
「今後はお客様と深くつながった循環型ビジネスの構築を目指す。機器購入前には設計や契約などを支援し、機器導入後には使用状況のデータを分析し、空気質見える化と空気質改善などを提案する。空気質の見える化は空間の安心感が得られ、もっと良い空気にするためのアップデート提案にもつながる」(道浦氏)とビジネスモデルを描く。
社内においても「環境テクノロジー革新」「継続顧客接点強化」「オペレーション改革」を推進。なかでも環境テクノロジー革新については、「独自の技術を磨き上げ業界でのゲームチェンジを図る。会社設立以前から空質、空調の商品を連携した取り組みはスタートしており、2021年4月には中国で『創新システム』、8月にはASEANで『クラウド連携協調運転』、日本では2022年4月から『業務用空質空調連携システム』を発売。機器連携、融合システム、センシングによる最適制御により、エネルギーロスを極小化し、圧倒的省エネ性を実現する」(道浦氏)と融合によるメリットを説いた。
同日に発表された業務用空質空調連携システムは、空調機の温度調節機能、熱交換気扇による換気機能、当社独自技術の次亜塩素酸と新「ナノイーX」による、除菌、脱臭、加湿機能を連携させたもの。天井埋込形ジアイーノで、空気中を浮遊する菌・ニオイを吸引し、本体内部で生成する「次亜塩素酸」のチカラで除菌・脱臭。キレイになった空気とともに、気体状の「次亜塩素酸」を放出する。業界トップクラスの省エネを実現したエアコンと換気機器で、最大52%のエネルギー削減にもつなげる。
今後は「事業成長に向けて積極的に投資する」(道浦氏)とし、2025年度までに1000億円規模を投資することも発表。「主要市場において研究開発力を強化する。市場にできる限り近いところに投資することで、商品開発をスピードアップし、リードタイム短縮による供給力強化を図る」とコメント。中期事業目標として、2025年度の販売目標を1兆円とした。
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