不動産テック協会設立3周年--不動産共通IDは「何が何でもやりきりたい」

加納恵 (編集部)2021年12月09日 15時57分
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 一般社団法人 不動産テック協会は12月8日、設立3周年記念イベントを開催した。1年間での協会活動を振り返るとともに、理事体制の変更の報告や、推進している不動産共通IDの現況などについて説明した。

 不動産テック協会 代表理事(リーウェイズ 代表取締役)の巻口成憲氏は「不動産テックという言葉で出始めた2017年頃は一時的な盛り上がりを見せるだけかもしれないと危機感を持っていたが、フィンテックやリーガルテック、建設テックなど、周辺領域のテクノロジー化が進み、不動産もテクノロジーを使わないわけにはいかないという状況になった。加えて、2020~2021年はコロナ禍もあり、非対面、リモートなどのキーワードによって不動産テックが加速したことは間違いない。不動産テック協会が3年前に設立した目的は、不動産テックを手掛ける会社、新サービスが登場してくる中、わかりやすく交通整理をすること、そして不動産事業者とテクノロジーベンチャーを連携させ、エコシステムを作ること。今後もこの連携を発展させていきたい」とコメントした。

不動産テック協会 代表理事の巻口成憲氏(リーウェイズ 代表取締役)
不動産テック協会 代表理事の巻口成憲氏(リーウェイズ 代表取締役)

 現在の会員数は130社近く。協会内には不動産共通ID推進、ビジネスマッチング、業界マップ、不動産金融、海外連携といった部会を設け、テーマごとに情報を整理し、活動しているという。加えて、記念イベントやセミナーなどを実施するほか、ピッチイベントなども手掛けている。

 会場では、新体制についても発表した。協会設立時から代表理事を務めた、リマールエステート 代表取締役社長の赤木正幸氏が顧問となり、新たな代表理事にライナフ 代表取締役社長の滝沢潔氏が就任。これは、10月の選挙で赤木氏が衆議院議員に当選したことを受け、変更されたもの。理事には、ハッチ・ワーク 代表取締役の増田知平氏とクリアル 代表取締役の横田大造氏が新たに加わる。

 赤木氏は「今後は不動産テック業界を側面から支援していく。業界における現場の状況をどうやってキャッチアップしていくかは官公庁も情報を欲している。そのパイプ役になっていきたい」と今後について話した。

不動産テック協会 顧問の赤木正幸氏(リマールエステート 代表取締役社長)
不動産テック協会 顧問の赤木正幸氏(リマールエステート 代表取締役社長)

 新たな代表理事に就いた滝沢氏は「コロナ禍でオンラインによる情報発信はできたが、不動産の実業とテクノロジー企業を結びつけるビジネスマッチングは難しかった。今後はこの部分にも注力し、会員同士のシナジーを目指していきたい。また、以前から担当する不動産共通ID推進部会については、不動産IDとしてなにか共通する1つの形にできない限り不動産テックは行き詰まるという危機感を覚えている。何が何でもやりきりたい」と決意を表明した。

不動産テック協会 代表理事に就任し滝沢潔氏(ライナフ 代表取締役社長)
不動産テック協会 代表理事に就任し滝沢潔氏(ライナフ 代表取締役社長)

 イベント内では、「不動産共通IDについて」をテーマにしたセミナーも実施。滝沢氏と、ともに不動産共通IDを推進するGeolonia(ジオロニア) 代表取締役社長の宮内隆行氏が講演した。

 滝沢氏は「不動産管理会社では、複数サービスの管理画面を使わなければならず、現場は疲弊している。これを解決するためには1つの管理画面を変更したら、すべてが連動すること。これを実現するためには住所のID化が必要と考えた」と背景を話す。

 不動産を特定するための住所は、文字列で認識されているため、視認はできてもデジタルでは認識できないのが現状。「霞が関」と「霞ケ関」のように、同じ地名であっても表記ゆれが生じているため、「同一である」という認識は困難だという。そのため滝沢氏は「住所を使って物件を特定するためには、アルァベットと数字のIDをふる以外は不可能。このバラバラな表記ゆれを処理し、不動産IDがふれれば各社の持っている不動産情報が連携しやすくなる」と言い切る。

 宮内氏も「住所のゆれを不動産IDの仕組みで解決する取り組み。住所を入力したらIDが出るようにする」と説明する。

「霞が関」と「霞ケ関」のように、同じ地名であっても表記ゆれが生じている
「霞が関」と「霞ケ関」のように、同じ地名であっても表記ゆれが生じている
不動産共通IDの大まかな仕組み
不動産共通IDの大まかな仕組み

 また、国土交通省が主導する「不動産ID」については、「現在の住所を入れると共通IDと正規の住所を返す、これを実現できるのであれば、どれか1つのIDが広がっていけばいい」(滝沢氏)とした。

 宮内氏は、認識が難しい住所として「2つの町が合併して町名がネストになっている」、住所の数字部分に「イ」など「数字とは限られない文字列が入っている」、「大坂府堺市の丁システム」「札幌市の軒・条システム」を紹介。さらに数字部分に用いるハイフンの表記も「ハイフンぽい文字が多数ある。すべてではないが、4つくらいはよく使われている」と指摘した。

Geolonia(ジオロニア) 代表取締役社長の宮内隆行氏
Geolonia(ジオロニア) 代表取締役社長の宮内隆行氏

 「不動産共通IDは、IDの発行に特化したサービス体系になっており、物件に関する各種データの収集は目的としていない。安心して使ってほしい」(宮内氏)とした。

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