「iPod」登場から20年--アップル躍進の原因となった製品を開発者が語る

Roger Cheng (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2021年11月01日 07時30分
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 時価総額で世界トップに立つ超大手Appleに入社するというのは、今なら迷う余地のないことに思えるが、2001年当時は事情が全く違っていた。当時の最高経営責任者(CEO)、Steve Jobs氏が、Appleに入って画期的なデバイスを作れとTony Fadell氏に命じた(依頼ではなかった)のは、まさにそんな時期だった。だが、「iPod」を生み出すことになる同氏も、当初は入社にためらったという。

 「ちょっと待ってくれよ、という気分だった」。Fadell氏は、iPod誕生20周年に当たる10月23日にZoomで行ったインタビューに応じて、そう語ってくれた。「当時は、相当の変わり者でもなければ、Appleに行こうなどと思わなかった」

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提供:Collin Buenerkemper/CNET

 2001年のはじめ、独自のMP3プレーヤーを開発していたFadell氏は、Appleからコンサルティングを依頼され、当時発表されたばかりの「iTunes」ソフトウェアと連動するデジタル音楽プレーヤーとして、複数のプロトタイプを作ってほしいと打診される。Fadell氏がJobs氏の心を動かしたのは、間違いなかった。「これを作ることにする。うちに入って、一緒に作ってくれ」。Jobs氏がそう言ったと、Fadell氏は回顧している。

 もちろん、Fadell氏は最終的にこの要請に応え、チームを率いて、Appleの歴史上でもとりわけ重要な製品の1つを作ることになる。Appleのサイトで、今でも購入できる製品だ(ただし、形はだいぶ変わった)。その製品、iPodは、パーソナルコンピューター市場の小さな会社で販売に苦戦していたAppleを、家電機器の大手へと変えた。同時に、デジタル音楽ビジネスにも変革をもたらす。事実上CD市場を破壊し、Appleのシンボルとなった白いMP3プレーヤーと、至るところで目にする白いイヤホンは、ステータスシンボルにまでなった。

 何より重要なのは、iPodに関する初期の技術の多くが、Appleの次の革新的製品「iPhone」へと続く道を固めたことだ。iPhoneは、私たちの生活とモバイルデバイスの使い方に関して、実質上ありとあらゆることを変革した。そしてそのiPhoneによって、Appleは現在2兆4200万ドルと(約275兆円)、世界最高の時価総額を記録するまでに成長したのだ。

 Fadell氏は、iPodを成功させた後、スマートホーム製品メーカーのNest Labsを創設する(同社は後にGoogleによって買収されている)。そのFadell氏が、iPod開発初期の「クレイジーな」日々を振り返り、同氏の考えるiPodが成功した理由と、時代を超えて生き残っている経緯を語ってくれた。以下は、同氏の話をまとめたものである。

 Fadell氏の語った内容について、Appleからコメントは得られなかった。

最初はコンサルティングだけ

 Fadell氏は現在52歳。オリーブ色のゆったりしたポロシャツを身にまとい、「AirPods Max」を頭から耳にかけて、生き生きとした様子でビデオチャットに参加してくれた。シリコンバレーに生きてきたベテランであり、Philips ElectronicsやAppleの子会社General Magicでの勤務を経て、Appleの仕事に就いた。Fadell氏が、当時の様子を振り返ってくれた。

 Appleで音楽プレーヤーの開発を任されていたのは、幹部のJon Rubinstein氏だった。そのRubinstein氏が訪ねてきたのが2001年はじめのことで、Fadell氏は既に自身のスタートアップ企業であるFuse Systemsを経営しており、メインストリームとなるMP3プレーヤーの開発を目指しているところだった。MP3プレーヤーはまだ生まれて間もない市場で、Creative LabsやRCAなど、さまざまな企業が十数社参入していた。だが、問題はデバイスの販売数だった。1台あたり数百ドルのこのデバイスの2000年の販売台数は、総計50万台にすぎなかったのだ(全米家電協会調べ)。Fadell氏のFuseも、たびたびノーを突きつけられていた。それでも、Appleでのコンサルティングの仕事は、自身のプロジェクトが生き残るチャンスだと考えた。

 「この機会に、コンサルティングを引き受けよう。その収入で自分の会社も存続させられる」(Fadell氏)

 Fadell氏は、自身の会社での研究結果も利用しつつ、およそ7週間をかけ、デジタル音楽プレーヤーの選択肢としていくつかのモデルを探求する。最終的に、3種類のモックアップを発泡スチロールで制作し、適切な重さを付けるために、祖父の釣り道具の重りを使ったという。

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