KDDIとKDDI総合研究所は9月10日、5Gによるクラウドレンダリングやスマートグラス、バーチャルヒューマンを活用し、アパレル業界のDX化を支援する取り組みを開始すると発表した。
現在のアパレル業界は、ひとつの商品を生産するまでの企画・デザインの段階において、多くの実物サンプルが制作されており、それには多くの時間とコストがかかり、廃棄処分される布地も大量に発生していると指摘。そこで両社は、この課題に対して、実物と同等の高精細な3DCGの衣服をバーチャルヒューマンに着せて確認できるシステムを開発した。
これにより、実物のサンプルがなくても実寸大で商品が確認でき、サンプル制作におけるリードタイムの短縮、コスト削減につなげられるほか、商品のイメージをリモートで共有できるようになるという。また、サンプル制作時に消費される資源を最小限に抑えられるというメリットもあると説明する。
取り組みの第1弾として、実際に制作可能なドレスとマスクの3DCGを「au VISION STUDIO」のバーチャルヒューマン「coh」が身に着け、その様子をスマートグラスを通じて確認できるという。KDDI総合研究所が開発したVPS(Visual Positioning Service)を活用することで、目の前に実物があるかのような感覚を作り出し、体験者は近付いたり回り込んだりして素材感やコーディネートを確認できる。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で大規模なイベントを開催できない中、同システムを応用することで、スマートグラスによるバーチャルファッションショーを配信し、場所や時間の制約にとらわれることないショー体験の提供などが可能としている。同システムは、企業や研究機関などを対象とし、新たなライフスタイルを提案する調査・応用研究拠点「KDDI research atelier」で、9月10日から12月28日まで展示する予定。
今後KDDIは、アパレル業界における企画、デザイン、販売・プロモーション、生産などのサプライチェーン全体のDXを支援するほか、サプライチェーン全体のDX化により、環境にも生産者にも優しいサステイナブルな業界への変革を支援する取り組みを推進するとしている。
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