「Windows 11」にはアップグレードするだけの理由がある。ノートPCは、Microsoftの最新OSによって、Intelの新しいプロセッサー「Alder Lake」のスピードとバッテリー性能を最大限に発揮できるようになる。
Windows 11は10月5日に一般提供が予定されている。Intelの第11世代「Core」プロセッサー「Tiger Lake」の後継であるAlder Lakeを初めて搭載するPCのデビューにも期待できるようになる。Alder Lakeは、スピードを高める高性能コアと高い電力効率を実現する高効率コアの組み合わせを最大の特徴としており、MicrosoftはWindows 11でこの特徴を最適化できるようにしている。Windowsで「Intel Thread Director」を生かせるようになっており、この機能で実行中のコンピューティングタスクを監視し、各タスクに最適なコアを判断できるようにする。
Thread Directorに対応することで、Windows 11は最新のPCが同時に実行している多数のコンピューティングプロセス(スレッド)をより効率よく監視できるようになっている。これは、鉄道の運行管理員が各列車の速度と重要性を把握して、より適切な運行スケジュールを設定するのと同じようなことだ。
Microsoftのパートナー開発担当マネージャーMehmet Iyigun氏は、8月の説明会で「Windows 11ではスレッドスケジューラーの性能が大きく向上し、最適なコアを動的に選択できる」と述べた。このような監視機能は「体感上のパフォーマンスに絶大な影響」をもたらしてくれる。
ただし、Thread Directorが具体的にどれほどのメリットをもたらすのか、Microsoftはコメントしていない。
Windows 11とAlder Lakeの組み合わせによる速度と効率の向上は、アップグレードに消極的になりがちな企業に対して、アップグレードを促す可能性がある。技術的に大きな進歩が生じるまでノートPCを使い続けることのできる消費者に対しても同様だ。
Microsoftにとって、パフォーマンスの向上は、古いバージョンの製品を何年も使用し続ける消費者に、Windowsのアップグレードを促すきっかけとなるだろう。「Windows XP」や「Windows 7」は、十年以上にわたって使用されたことで、セキュリティの脆弱性が放置されたり新しいソフトウェアが使えなくなったりするといった問題をもたらしていた。
職場で支給されるノートPCを持っている場合は、雇用主の技術的な判断に左右されることになるが、パフォーマンスとバッテリー持続時間の向上はどのIT管理者にとっても歓迎されるメリットだろう。
TechsponentialのアナリストAvi Greengart氏は、「企業では、(Thread Directorへの対応によって)Windows 11の導入が促進される可能性がある」と指摘し、さらに、Windows 11による安全性、管理性、生産性の向上を企業が気に入る可能性もあると述べた。
Thread Directorは、高性能コアに割り当てるべき優先度の高いタスクと高効率コアに割り当てていい優先度の低いバックグラウンドタスクを監視に基づいて判断し、その結果をOSに伝える。また、新しいタスクの開始や古いタスクの終了といった変化に応じて、その判断に修正を加える。
Windows 11は、インストールされたソフトウェアがOSにニーズを伝達する方法も改善し、より優れたパフォーマンスを可能にした。 Windowsにはもともと、ソフトウェアがパフォーマンスの向上のためにより多くのリソースを要求できるプログラミングインターフェースがあったが、 Windows 11ではバッテリーを節約したいときに、ソフトウェアがパフォーマンスよりも効率を優先できるようになっている。
効率を優先するオプションを利用するアプリケーションの1つは、Microsoftの「Edge」ブラウザーになるだろうとIyigun氏は述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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