今回筆者はWindows 365 Businessの2 vCPU/8 GBメモリ/128 GB ストレージというプランを契約し(Windowsハイブリッド特典適用で月額5570円、税別)、実際に手持ちのいくつかの端末で利用した。具体的にはMicrosoft Officeでの編集作業、Teamsでの電話会議、Zoomでの電話会議という3つをそれぞれテストし、その使用感を以下の表にまとめた。
なお、いずれも回線は筆者のオフィス回線で、常時700Mbps程度のダウンロード/アップロード速度が出ている回線で利用している。
デバイス | VAIO Z (VJZ141) |
VAIO Z (VJZ141) |
Macbook Pro (M1、2020) |
Macbook Pro (M1、2020) |
iPad Pro (11型、2021モデル) |
iPad Pro (11型、2021モデル) |
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クライアント | デスクトップ版RDP(※) | Microsoft Edge(※) | Safari | macOS版RDP | Safari | iPad OS版RDP |
表示 | 鮮明な表示 | やや滲んだ表示 | やや滲んだ表示 | 鮮明な表示 | やや滲んだ表示 | 鮮明な表示 |
Outlook | ローカルPCと同じ程度に快適に利用可能 | 普通に利用可能 | 普通に利用可能 | 普通に利用可能 | IMEが利用できない | 普通に利用可能 |
Teamsのビデオ会議 | ローカルPCと同じように実行可能 | カメラ利用不可 | カメラ利用不可 | カメラは紙芝居だが利用可能 | カメラ利用不可 | カメラは紙芝居だが利用可能 |
Zoomのビデオ会議 | カメラ利用不可 | カメラ利用不可 | カメラ利用不可 | カメラ利用不可 | カメラ利用不可 | カメラ利用不可 |
ユーザー認証 | Windows Helloを利用可能 | パスワード | パスワード | パスワード | パスワード | パスワード |
表4に示したように、クライアントデバイスのOSとクライアントソフトウエアで現状では大きく使い勝手に差があることがわかる。もっとも利便性が高い状態で使えたのは、Windows 10 Proを搭載したノートPC(VAIO Z)とデスクトップ版RDPクライアントの組み合わせだった。他の組み合わせでは表示がややくすんだ表示になるのに対して、デスクトップ版RDPクライアントではドットバイドットの鮮明な表示になり、ローカルのWindows OSを利用しているのとまったく同じ感覚で利用できた。
また、Outlookでのメールでの返信などもローカルのPCと全く同じ感覚で使えた。他のデバイスでは、日本語入力がオンにならない(iPad Pro+Safari)、できてもやや応答速度に不満を感じるなどがあったが、デスクトップ版RDPクライアントはそういうことが一切なく、快適だった。
Teamsの利用でも、デスクトップ版RDPだけが、ローカルのPCでTeamsを実行しているのと同じ感覚でビデオ会議ができた。これはTeams AVリダイレクションという、カメラや音声などをはめ込む機能が有効に機能しているからだと考えられる。なお、他の環境(Macbook Pro+RDP、iPad Pro+RDP)でもカメラは利用できたものの、紙芝居状態で実用に耐えない状況だった。
なお、どの環境でもZoomからカメラは利用できず、ビデオ会議ができなかった。このあたりは前述のTeams AVリダイレクションを、一般的なマルチメディア機能に拡張する機能(マルチ・メディア・リダイレクション)がデスクトップ版RDPなどに実装されるのを待つ必要があるだろう。
以上のように、Windows 365を実際に利用してわかったことは、クラウドPCの機能をフルに発揮し快適に利用するには、Windows PC上でデスクトップ版RDPクライアントが必須になるということだ。その次にmacOS版、iPad OS版のRDPクライアントがやや機能は落ちるが実用には耐えうるとはいえ、ウェブブラウザ版はかなり機能が制限されると考えた方がいい。
<お詫びと訂正>2021/08/08
表4の※で記した部分において、一部表記ミスがありました。訂正しお詫び申し上げます。
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