今秋発売の「Pixel 6」--自社製チップでグーグルのスマホ事業を救えるか - (page 2)

Richard Nieva (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2021年08月12日 07時30分

 米国には、Appleやサムスンとまともに勝負できた企業はない。Strategy Analyticsによると、2021年第2四半期におけるPixelの市場シェアは0.7%で、前年同期の1.3%から減少したという。それでも、Googleはハイエンドスマートフォンへの投資を継続するという決断を変えていない。

 「目標の1つは、Googleが提供できる最高のものを示すことだ」。Googleのハードウェア部門のシニアバイスプレジデントであるRick Osterloh氏は、先頃行ったインタビューで、そう語った。「市場には、最新のものを求める大きなセグメントがあるし、われわれはテクノロジーを構築することが大好きだ。したがって、市場のその部分に訴求することも目指している」

 Googleが自社でPixelのチップを設計した背景には、他の大手テクノロジー企業がソフトウェアやハードウェアだけでなく、デバイスの頭脳も開発することに対して、より積極的に取り組んできたことがある。

 サムスンは昔から、一部の自社デバイスのコンポーネントを製造している。MicrosoftはQualcommとの提携の下、「Surface」デバイス用のプロセッサーを設計した。Appleは特に、「iPhone」から「Mac」まで、あらゆるデバイスで独自チップを使うことで、さまざまな恩恵を受けている。社内開発のおかげで、Appleはプロセッサーの性能強化だけでなく、エネルギー効率の向上にも取り組むことができている。Appleの「M1」コンピューターシリコン(2020年11月に発売された一部のMacに搭載されている)は、競合のノートPCチップよりも2倍強力で、バッテリー消費量は4分の1である、と同社は発表イベントで述べていた。

 Googleの場合、Tensorチップの採用によるコンピューティング能力の向上で、Pixelの人工知能(AI)機能を強化することも可能になるだろう。ディクテーションによるテキスト作成などの音声認識の改善や、写真のブレを軽減するソフトウェアアップグレードなどの、よりハイエンドの写真撮影といったことが実現するかもしれない。Googleの最高経営責任者(CEO)のSundar Pichai氏は声明の中で、次のように述べている。「これは、歴代のPixelで最大のイノベーションであり、当社のAIチームおよびAndroidチームとの共同作業で設計された。今後何年にもわたって、ハードウェアとソフトウェア、AIが交わる部分で最高の体験を提供していくことが目標だ」

 これまでのPixelモデルにチップを供給してきたQualcommは、このような動きについて、あまり重視していないようであり、同社の「Snapdragon」プロセッサーは、Androidスマートフォンの代名詞であり続けるとしている。「Qualcomm TechnologiesとGoogleは、最初のAndroidデバイスを市場に投入した15年以上前からずっとパートナーである」と広報担当者は声明で述べている。「われわれは、Snapdragonプラットフォームをベースとする既存の製品と将来の製品で、今後もGoogleと緊密に連携し、5G時代に向けた次世代のユーザー体験を提供していく」

緊張状態は「遠い昔」のこと

 Googleが20年以上前に創設された頃、人々がインターネットにアクセスする主な始点はデスクトップコンピューターだったが、現在では、それ以外の多くの場所からアクセスするようになっている。デバイスの販売がGoogleにとって非常に重要な取り組みになったのは、そのためだ。現在では、自動的にまとめられた楽曲のプレイリストを再生するようにスマートスピーカーに指示したり、スマートフォンを使用してテイクアウトを注文したり、マップアプリでジョギングのルートを作成したりするようになっている。

カメラモジュール
背面にはカメラモジュールが横長に配置されている。
提供:Google

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