ユーザーは、初めて見るブランドについてはレビューを頼りにするしかない場合もある。外部ベンダーが利用するAmazonマーケットプレイスは、今やまるで地球規模の巨大な商店街のようだ。世界中の販売業者が絶えずAmazonにアカウントを作成しており、新たなブランドが参入しては、何とか目立とうと必死になっている。多くのベンダーは、高品質の商品を販売しているが、Amazonのアクティブ顧客3億人にとって、ある商品がお買い得なのか、それとも火事を起こしかねない問題商品なのかを見分けることは難しい。
Amazonはこの記事に向けて、偽レビューの手口について直接は言及しなかったが、偽レビューが掲載される前に削除するよう尽力していると述べた。
「Amazon以外で用意された可能性がある偽レビューを見つけた場合は、それが発生したソーシャルメディアの企業に定期的に報告している」と広報担当者は述べた。「以前よりはるかに対応が早くなってきたソーシャルメディア企業もあり、その点は評価している。だが、この問題に大々的に取り組むためには、われわれが各社に問題を報告する前に、偽レビューを検出して対処できる先取り的な管理手段に適切に投資することも、ソーシャルメディア企業には不可欠だ」(同担当者)
Club Ki-Fairの管理者アカウントは3つあるが、そのいずれからもコメントは得られていない。Zhongには、連絡がつかなかった。
レビューが作為的なものだからといって、必ずしも商品が劣っているとは限らない。5月にAmazonは、それぞれ充電器およびヘッドホンメーカーとして人気の高いAukeyとMpowの電子機器商品を大量に削除した。米CNETのレビュアーからも、過去に高評価を得たことがある商品だ。
偽レビューは大抵の場合、マーケティングの取り組みの一環である。何千もの高評価を得た商品は、Amazonのランキングで順位が上がっていき、特に人気の高いブランドに仲間入りする。そうなると検索結果での順位も上がり、「高評価」とか「ベストセラー」、あるいは「Amazon's Choice」に指定されるなど、特別に提示されるようになることもある。スポーツにおけるドーピングと同じように、既に世界トップクラスの商品の販売実績がある企業でさえ、ズルをすることをいとわなくなるようだ。
Amazonが特定の電子機器商品を削除したのは、正確なレビューだけを掲載するという目標を達成するのがいかに難しいかという雄弁な証左になっている。2016年、Amazonはユーザーが無償で手に入れた商品についてレビューを投稿するのを禁じることで、この問題に対処しようとした。ただし、「Amazon Vine」プログラム(「高い信頼が寄せられている」レビュアーに、無償で商品を試してもらうプログラム)を利用している場合は例外だ。Vineについて、Amazonはこう述べている。「高い評価に報酬を出してはいないし、レビューの内容に干渉しようともしない。そもそもレビューの投稿も必須ではない」
それでも、報酬付きレビューの市場が途絶えることはなかった。すぐに見つかるFacebookグループ以外にも、レビュー用の無償商品を手に入れたいAmazonユーザー向けのハウツー情報は、ネットで検索すればすぐに見つかる。
米調査会社Forrester ResearchのSucharita Kodali氏は、Amazonなら社内ツールを利用して自動的に偽レビューを目立たせないようにし、信頼できる顧客によるレビューは目立たせるようにすることで、この問題に対処できるだろうと述べている。また、偽レビューは法律上の問題にすべきだという。
「レビューに関して新しい連邦法が必要だ。レビューは、ますます偽広告として確立しつつある」(Kodali氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」