Club Ki-FairのFacebookページの管理者たちは、Fairywill、Kipozi、Lonove、Sbolyなど、いくつもの日用品ブランドを列挙していた。過去数カ月の投稿を見ると、ヘアドライヤー、マニキュア、電動歯ブラシをはじめ、髪を「ビーチウェーブ」にできるとうたうヘアアイロンなどが登場していた。購入すると返金があるという言質を取られないよう、管理者はグループメンバーに対して慎重だった。あるメンバーが商品の価格を聞いても、管理者の1人は「メールを見て」と答えていた。
だが、管理者本人のFacebookページを見れば、返金が取引の一環であることは明らかだった。Xu Fanという管理者は、自分が返金に関する連絡先であることを、自身のプロフィールページで明言しており、PayPalでの決済について相談する都合のいい時間帯なども載せていた。
紹介されていた商品は、レビューの増加に伴ってAmazonのランキングで上位に入った。Fairywillの電動歯ブラシは、音波振動式と超音波式の両方でベストセラーの1位になった。本稿執筆時点で、レビュー件数は1万を超え、そのうち90%は星4つ以上だった。Kipoziのストレートアイロンは、フラット型でベストセラー4位。やはり1万件以上のレビューがあり、星4つ以上が86%だった。
他のブランドもパターンは同じで、レビュー件数が1万件を超え、圧倒的に高評価だ。「フェイススチーマー」とか「Kカップコーヒーメーカー」といったキーワードを使ってAmazonで検索したときも上位の方に入る。
Club Ki-Fairの最近の投稿では、こうした高評価の商品は「レビューで返金」の対象としていなかった。代わりに、Amazonの検索でまだ上位に入っていない商品をレビューすると返金を受け取れる可能性があるとして、メンバーを誘っていた。対象となった商品は例えば「Hair Waver Beach Waves Curling Iron」で、まだレビューが58件しかなく、そのすべてが星4つ以上だった。Amazonの出品者ページを見ると、1つを除く全てのブランドが同じ住所で、中国広東省の珠海市となっている。
筆者がClub Ki-Fairグループに参加したときには、グループと関係のないFacebookユーザーから、レビューと引き換えに返金のチャンスというプライベートメッセージが送られてきた。
Wen Mingという名前のアカウントからのメッセージは、こんな内容だった。「こんにちは。他にもAmazonの商品あります。レビューしてくれたらPayPalで返金します」
このFacebookユーザーは、レビューの対象になっている何十もの商品のスクリーンショットを送ってきたが、ブランド名は大抵見えないようになっていた。ヘッドホン、時計、ゲーム機用コントローラー、ヘルメット、軍手など、商品はさまざまだったが、どれもClub Ki-Fairで薦められているブランドとは違った。返金されるのは高評価のレビューだけか、と質問したところ、メッセージは止まってしまった。もちろん、筆者はここでも何も受け取っていない。
Facebookは、報酬付きのレビューを利用規約で禁じている。ユーザーは、「偽のまたは誤解を招くようなカスタマーレビューまたは評価」の「取引、販売、または購入」を勧誘してはならないと、不正行為および詐欺を禁止する条項で定めているのだ。
しかし、違反行為を見つけるのは簡単だ。レビューすれば返金すると筆者に提案してきたFacebookユーザーは、自身のプロフィールに自分の行動についてはっきりと記載している。そこには「私はAmazonの出品者です」「無料の商品が欲しければメッセージをください。よろしく」と書かれている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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