折りたたみ式スマートフォンは、今後はたして主流になるのだろうか。それとも、裕福なハイテク好きが持つ高価な玩具であり続けるのだろうか。華為技術(ファーウェイ)は、2月に発表した「Mate X2」で、折りたたみガジェットの魅力を全面的に打ち出している。
使い始めて1週間経ったところだが、Mate X2は現在市販されている折りたたみ式スマートフォン(ただし、本機種の販売は今のところ中国のみ)のなかで、ハードウェアとしては最高だと断言できる。サムスンの「Galaxy Z Fold2」をしのいでいる(詳しくは後述)。カメラはファーウェイらしく、どんな照明条件でも素晴らしい写真が撮れる。加えて、開くとタブレットサイズになる内側ディスプレイのおかげで、マルチタスクも通常のスマートフォンに比べるとはるかに容易だ。
ファーウェイは、サムスンに触発されてMate X2の設計を見直し、前モデル「Mate X」のような外折りではなく、本のような開閉式を採用した。この設計変更に伴って、Mate X2はディスプレイが1面ではなく2面になった。一般的なスマートフォンと同じフルサイズの外側ディスプレイと、タブレットサイズの内側ディスプレイで、内側ディスプレイにはノッチが全くない。どちらのディスプレイも鮮やかで反応が良く、画面を開いたときの切り替わりも驚くほどスムーズだ。
折りたたみ式としてスムーズな操作感を実現するだけでなく、ファーウェイは他の機能も出し惜しみしなかった。特に際立っているのは、優秀なカメラシステムだ。市販されているもので最高クラスの撮影機能が詰め込まれており、ペリスコープ(潜望鏡)式の望遠レンズも搭載した。折りたたみ式スマートフォンとしては、おそらく初の試みだろう。「Kirin 9000」という強力なプロセッサーも採用している。
1万7999人民元(約30万8000円)という途方もない価格を考えると、付属品を惜しまなかったところはありがたい。高速充電器、有線イヤホン、ヴィーガンレザー製ケースが付属しており、ケースには広げた状態で自立させられるスタンドが付いている。
Mate X2に、明らかな難点があることは間違いない。突出した価格で、一般人には手が届かないうえに、現在は中国でしか販売されていない。とはいえ、おそらく次期Mateは中国以外にも展開されるだろうと筆者は考えている。また、最近のファーウェイ製品はすべて同様だが、Mate X2でも「Gmail」や「Googleマップ」といったGoogle製アプリは、米国による制裁のため使えない。幸い、Gmailなどのサービスはブラウザー上で利用できるし、ファーウェイ純正のメールアプリでもGmailアカウントは問題なく読み込むことができた。そして、大画面はうれしいのだが、Mate X2は筆者の手にはかなりかさばる。
こうした不完全な部分はあるものの、ファーウェイの折りたたみ式として3世代目となるMate X2は、やはり目を引くし、目を向ける価値があるスマートフォンだと筆者は考える。中国以外では買えないという点を差し引いても、だ。折りたたみ式が秘めるポテンシャルと、スマートフォン業界の行く末を示していると感じる。Mate X2で重要なのは、その圧倒的なスペックではなく、未来の一端を垣間見せてくれることの方だ。とはいえ、折りたたみ式スマートフォンのポテンシャルが真に発揮されるのは、ファーウェイが(あるいはサムスンが)もっと価格を、例えば1000ドルから1200ドルくらい(約11万円~13万円)にまで引き下げ、もっとスリムに、さらにポータブルな作りにしてからだろう。
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