保育園や幼稚園向けにICTサービスを提供するユニファは6月2日、シリーズDラウンドとなる約40億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、海外投資家がMinerva Growth Partners 、MPower Partners、Salesforce Ventures、他1社(ロングオンリー型・独立系資産運用会社)。国内投資家が、第一生命保険、DIMENSION、創発の莟ファンド、GLIN Impact Capital、博報堂DYベンチャーズ。
ユニファ取締役CFOの星直人氏によれば、今回の資金調達は、今後の事業戦略や財務戦略を加味した上で、未上場株式・上場株式の双方を投資対象とするクロスオーバーの海外機関投資家や、ESG(環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governance)、インパクト投資家らを中心としたラウンドであることが特徴だという。同社の累計調達額は約110億円(エクイティファイナンスとデットファイナンスの合計額)。
また、ESGをより重視した経営体制を構築するために、ユーザベースの取締役である松井しのぶ氏、西村あさひ法律事務所のパートナーである岩瀬ひとみ氏、メルカリ元CFO・Minerva Growth Partnersの創業パートナーである長澤啓氏が新社外取締役に就任。監査等委員会設置会社へ移行する。
同社は、乳幼児の午睡(昼寝)を見守る医療機器サービス「ルクミー午睡チェック」、記録が数秒でできるスマート体温計サービス「ルクミー体温計」、子どもの写真・動画をオンライン購入できるサービス「ルクミーフォト」、登降園管理・電子連絡帳や帳票管理を揃えたサービス「キッズリー」、保育士の複雑なシフトを自動調整・作成と勤怠管理を行うサービス「ルクミーシフト管理」、幼稚園・こども園専用の送迎バスの現在地をリアルタイムで把握できる「ルクミーバス位置情報」などのプロダクトを提供している。
全国の保育施設におけるルクミーシリーズの導入数は累計で1万件を超えているほか、ユニファの全サービスを導入した「スマート保育園」のモデル園では、月に60%以上の業務時間を削減した施設もあるという。また、コロナ禍で保育業界でもデジタル対応やDX化が急速に進んでおり、同社にとっては追い風の状況が続いているとのこと。
今回調達した資金は、ルクミーシリーズや新規事業に関わるプロダクト開発費用、さらなる顧客施設拡大に向けた営業・マーケティング費用、エンジニアなど優秀な人材の獲得費用、M&Aなどに充てる予定。
今後は、現在個々に提供している保育施設向けのサービスをパッケージ化し、1つのアプリで完結できるようにすることで、全国にスマート保育園を増やしていきたい考えだ。それにより、社会課題となっている保育士の労働負荷や待機児童を減らし、保育施設の社会インフラ化を実現することで、仕事と子育てを両立できる持続可能な社会の実現や、女性活躍のさらなる推進を支援するとしている。
さらに、その次のステップとして、保育士が子どもごとの発達速度や興味関心にあった教材を保護者にレコメンデーションするBtoCサービスなども検討していきたいと星氏は展望を語った。
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