GoogleによるFitbit買収は、Fitbit製品が他の多くの製品と連携するようになる可能性を確実に示している。Nest Hubのような手首に巻かないタイプのデバイスと連携する可能性すらある。第2世代のNest Hubにはレーダーを使う実験的な睡眠トラッキング機能があるが、Fitbitに接続する機能はない。
Friedman氏は、Googleエコシステムとの関係について次のように述べた。「われわれはまだ統合のごく初期段階にあるので、現時点で事前に発表することはない。だが、われわれはGoogleがAI技術の観点から提供するものを非常に楽しみにしている」
だが、Googleが最近重視している未来のビジョンである「アンビエントコンピューティング」は、Fitbitの向かう先に組み入れられる可能性がある。「アンビエントコンピューティングやアンビエントセンシングは非常に興味深い。Fitbitが市場に送り出すことに意味のあるものもあれば、GoogleとFitbitが共同で市場に提供することに意味のあるものもあるだろう」とFriedman氏は語った。
Friedman氏は、いずれの場合でも、Fitbitのモバイルアプリがハブになると考えている。「手首からの情報で把握できる症状もある」が、手首ベースの技術が「万能というわけではない」と同氏は言う。
新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが発生してから1年以上が経過したにもかかわらず、ウェアラブル技術は期待されていたような病気の症状検知機能を提供していない。だが、Fitbitを含む多数の企業が、心拍変動や体温などの手首で測定できるデータと疾患可能性との関係を調べる大規模な研究に取り組んでいる。
こうした研究結果をFitbitアプリのアップデートに組み込む方法を見つけるのは、より大きな課題だ。Friedman氏は次のように語った。「われわれはHRV(心拍変動)やSpO2(血中酸素飽和度)、心拍数、睡眠パターンなどのデータを把握できる。それを市場に出すことに取り組んでおり、この感染症の状況に基づいて何が正しいのかを理解するためにFDAと協力して精度を調整している」
Friedman氏は、この研究が人々が病気の症状に注意することを助ける端緒になると見ている。そうしたデバイスとしては既にOuraリングなどがあるが、同氏は正しい情報を提供することにも気を配っている。「テクノロジーも間違うことはある。われわれは医療機関およびFDAと協力し、人々の健康にとって何が正しいかを解明しようとしている」とFriedman氏。同氏はまた、Fitbitおよびそのデータと独自の評価を行う医師との間に信頼関係を築くという課題も抱えている。医療技術では、それは慎重を期すべき課題だ。
Friedman氏は、Fitbit Senceのストレス計測用EDAセンサーが最も期待するセンサーだと語った。だが、向こう10年間で、Fitbitのプラットフォームはさらにカスタマイズされたツールとして進化を続けると同氏はみている。
「今後、人々の行動を変えるような、カスタマイズ可能な多数の機能を提供していくことになるだろう」と同氏は語り、人命を救う可能性のある健康アラートで人々を支援する方法を研究していることにも触れた。「人の命を守るために、われわれに何ができるだろうか」
Frieman氏によると、睡眠追跡について、その情報に基づいて行動できるようになるまではFitbitの興味の対象外という。パンデミックは健康にとって悪いものだが、実際には睡眠が改善され、平均安静時心拍数は低下したと同氏は指摘する。
Friedman氏は、コーチングツールとガイダンスがそれぞれの個人に合わせて対応する、よりカスタマイズされた未来の可能性を感じている。同氏はユーザーがFitbitの提案を、厳しい評価ではなく提案として受け入れてくれるような方法を模索したことについて、「Fitbit立ち上げの頃に私が過小評価していたものの1つは脳の力だ」と語った。提案の方法は、サービスを使うユーザーごとに変わっていくだろう。
「今後5年から10年で、ハイパーパーソナライゼーションによってこうした動作の変化が進むと考えている。そしてもちろん、体に装着するかしないかを問わず、他にも測定できる多様な情報があることは非常に興味深い」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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