東日本旅客鉄道は3月28日、JR新大久保駅ビル3階〜4階に「シェアダイニング」「コワーキングスペース」「ファクトリーキッチン」を備えたフードラボ「Kimchi, Durian, Cardamom,,,(略称K,D,C,,,)」を開業した。同社は山手線を起点にそれぞれの駅周辺の街の個性を引き出し、街や人が有機的につながる都市生活空間「東京感動線」を創り上げる取り組みを進めており、今回のフードラボもその一環となる。
「東京感動線」に取り組む東日本旅客鉄道 山手線プロジェクト グループリーダーの古田恵美氏は、新大久保駅一帯は非常に国際色豊かで食文化も豊かなため、新大久保駅上にフードラボを立ち上げたと語った。
「食を軸にいろいろな人がつながり、そこから新しい食べ方や新しい食材との出会い、食体験そのものが生まれればと考えてK,D,C,,,を作り上げてきた。3階は3つのキッチンをそろえ、一般のお客様と生産者、料理人の方、新しい食のプロジェクトを始める方が出会える場にしていきたいと考えている。4階はコワーキングスペースになっており、食を軸に働く人や、食に興味を持った人が気軽に働ける場を提供しつつ、小ロットの製造・生産ができる『ファクトリーキッチン』を設けた」(古田氏)
フードラボの3階は、3つの厨房と1つの共同厨房、出店者同士が共有で使用できる客席などを備えるシェアダイニングになっており、さまざまな出店者が実験的な料理を提供したり、イベントを行ったりできるようになっている。
主に3階の運営を行うオレンジページ 代表取締役社長の一木典子氏は、シェアダイニングの役割は主に4つあると語る。
「1つめは食にかかわる起業や挑戦の敷居を徹底的に下げていくこと。食の起業や食にかかわる学びの場がここで得られる。2つめは資金。オイシックス・ラ・大地が運営する『Future Food Fund』やJR東日本スタートアップのほか、Campfireからも連携の申し出をいただいており、さまざまな資金調達へのアクセスがある。3つめがマーケットアクセス。たとえば4階でできた新しい商品を新大久保駅1階のNewdaysで売ってみるとか、駅ナカの催事場へ紹介するといったこともできるかもしれない。4つめが実験の場。こちらのキッチンは食器もそろっており、身一つで挑戦して、短期間で使える。ここは生活者が日常的な動線で来られる場所なので、ふらっと来てその中で新しい実験に出会うというような生活者との接点を作っていきたい」(一木氏)
一木社長は社会的な問題に対して意識の高い人だけでなく、普通の生活者の実感に沿ったコミュニケーションができることが重要だと続ける。
「この場では、新しい実験をしたい方々が生活者に密着した中でテストマーケティングができることで、大きな挑戦、変革のステップにしていただきたい。3階は3つの厨房があるイベントスペースになっており、大企業の食のイノベーションが3つ競演する、同じ『海洋資源のサステナビリティ』でも違うスタイルの3つが競演する、日本中の郷土食の新しい解釈が3つそろって競演するなど、生活者が『ちょっと行ってみようか』と思える体験デザインを私たちがすることで、新しい食文化の創造に貢献できると思っている」(一木氏)
シェアダイニングでは、オープニング企画として5月まで多様な趣向で食を楽しんでもらえるポップアップショップを開催する予定だ。
「さまざまな食を楽しんでもらいたいという思いから、エシカルやSDGs、フードテック、地域性といった切り口でセレクトしたポップアップショップを展開する。5月中旬からは、毎週食の本質や食の未来をテーマに、食にかかわる好奇心を満たすプログラムを開催する予定」(JR東日本 東京支社 事業部 企画・地域共創課 山手線プロジェクト 齊藤千明氏)
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