本田技研工業(ホンダ)は3月5日、自動運転レベル3に対応した「レジェンド」を発売した。
これまでにも、スバルの「アイサイト」や日産自動車の「ProPILOT2.0」など、ハンドルから手を離して運転できるシステムは、いくつかの量産自動車に搭載されてきた。しかし今回のレジェンドが搭載した「Honda SENSING Elite」は、一部の領域において運転操作の主体がシステムとなる「自動運転レベル3」を、世界で初めて型式指定を取得したシステムだ。
事実上、世界初の自動運転車両となったレジェンド。これに試乗する機会を得た。
レジェンドは、ホンダが発売するラグジュアリーセダン。初代は1985年に登場し、現行型で5代目となる。今回発売されたのは、この5代目にHonda SENSING Eliteを追加したグレード「LEGEND Hybrid EX・Honda SENSING Elite」だ。価格は1100万円で、生産数は100台限定。また、リース専用車種として扱われる。
このレジェンドが搭載するHonda SENSING Eliteは、これまでホンダ車が搭載してきた安全運転支援システム「Honda SENSING」の発展版となるもの。衝突軽減ブレーキやクルーズコントロールといった従来の機能に加え、ハンドルから手を離して運転できるハンズオフ機能や、目玉となるレベル3の自動運転機能を持つ。
国土交通省では、自動運転のレベルを、1から5までの5段階に分類している。このうち、従来車が搭載してきたシステムは、ハンドルから手を離して運転できる高度な機能を有しているものも含め、レベル2以下に留まっていた。レベル1とレベル2では、運転操作の主体はドライバーにあり、システムはあくまで支援の立ち位置だった。
一方、Honda SENSING Eliteでは、一部の条件下に限られるが、レベル3の自動運転を実現する。これは、運転操作の主体をシステムが担うものだ。そのため、レベル3の自動運転で走行している間においては、従来は違法だった、ナビ画面の注視や映像鑑賞といった「余所見」が可能となる。
そんな高機能なシステムを持つ自動運転対応のレジェンドだが、外観は従来のグレードと大きくは変わらない。目に付く点としては、フロントのフォグランプの位置にあるセンサーや、その上部やリアに設置される青色LEDのアクセサリーランプ、そしてリアに貼り付けられた自動運転車のステッカー程度だ。
従来の自動車でも、障害物や周囲の車両を検知するために、レーダーやカメラといったセンサーは設置されていた。だが、このレジェンドでは、システムの冗長性を担保するために、ミリ波レーダー5基、LiDAR5基、カメラ2基と、3種類12基ものセンサーを設置している。また、これらセンサーで得た周囲状況や、高精度地図、全球測位衛星システム(GNSS)による位置情報、ドライバー状態などを総合的に判断することで、自動運転時の安全性を高めている。
リアに貼り付けられた自動運転車のステッカーは、政府の要請によるものだという。自動運転車であることを周囲に認知させるためで、制限速度を厳守して走るということや、自動運転中に余所見をしていても違反ではないことを知らせる効果がある。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス