新型コロナウイルスのワクチンを数億人に届けるのは、容易な作業でないことが明らかになってきた。しかし、こうした初期の問題からイノベーションが生まれている。ワクチン配布用の小型電気自動車「Electric Vaccine Vehicle」(EVV)は、そのクリエイティブな発想の一例となるだろう。小型EVメーカーのAYROが米国時間3月8日、EVVの立ち上げを発表した。
EVVは、AYRO、Element Fleet Management、Club Car、Galleryら複数の企業のコラボレーションで実現した。AYROとGalleryが車両を製造し、Elementが販売を手がける。ゴルフカート業界で知られるClub Carは、サービス関連のサポートを提供する。EVVはまさしく移動式のワクチンクリニックのようだ。米疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインに従い、安全なワクチン投与のための設備などを備えている。ワクチン保管用の超低温冷凍庫、ワクチン温度を監視するBluetooth対応データロガーのほか、流し台、医療用保管庫などがある。これらを小型の電気自動車に詰め込み、ワクチンの配布を容易にする。
この車両はカスタマイズにも対応するという。また公道走行可能な仕様の車両は、市内や地域内のさまざまな場所に移動してワクチンを投与できる。1回の充電で50マイル(約80km)の距離を走行し、6~8時間連続で機器を稼働させることが可能だ。また標準的な110ボルトのコンセントから充電できるため、さまざまな場所で利用しやすい。さらに、電気自動車は排気ガスを出さないため、屋内で利用することもできる。
EVVを利用する医療従事者は、目的地に到着したら、ガルウィングドアを開けて作業台を下ろすだけでワクチン投与を開始できる。何より重要なのは、移動式のワクチンセンターで、交通手段を持たない人々にワクチンを届けられることだ。
EVVは3月から4月にかけて、アトランタ、ロサンゼルス、ボストンなどの米国の一部の都市で実演される予定だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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