神戸市とスペースマーケットは2月4日、飲食店とテレワーク推進を同時に支援する実証事業として「KOBE Work Space Share」を開始した。飲食店の1席を1時間あたり一律100円でテレワークスペースとして貸し出す。
KOBE Work Space Shareは、緊急事態宣言を受け、時短営業などを強いられ売上減となっている飲食店と、テレワークが推進される中、自宅でのワークスペース確保が難しいとする就業者を結びつけることが狙い。飲食店をワークスペースとして活用する機会を創出することで、経済活動の維持や働き方のバリエーション向上の一助になるか検証していく。
同日から参加する飲食店をスペースマーケットで受け付けており、神戸市に約1万1500店舗ある中小規模の飲食店が対象になる。店内の一部をワークスペースにしたり、朝や夕方など業務の空き時間のみをスペースとして提供するなど、店舗の規模に応じた展開が可能だ。
利用者は、スペースマーケット上でテレワーク場所となる飲食店を検索、予約、決済までできる仕組み。飲食店側は、スペースマーケット上で予約を承認し、利用料が支払われる。支援対象期間となる3月31日までは、サービス手数料30%の半額分となる15%を神戸市とスペースマーケットで助成する。
利用時には、飲食の持ち込みを「水・お茶のみ」にしているほか、感染対策も踏まえ、1人での利用を前提にしているとのこと。神戸市企画調整局つなぐラボ 特命係長の長井伸晃氏は「テレワーク利用時にコーヒーを飲んだり、ランチなどを頼んだりすることで、飲食店の売上につなげてもらえたら」と話す。
「スペースマーケットでは、テレワークとして通常1時間500円程度の利用料をいただくケースが多く、1時間100円は超格安。(神戸市とスペースマーケットからの助成がなくなる)支援期間以降もホストの方が望めばこの金額のまま継続する予定」(スペースマーケット 代表取締役社長の重松大輔氏)とする。
会見に登場した、カフェ英國屋 小川嘉之氏は「外出自粛により人が少なくなり、昼間の売上は致命的な影響を受けている。喫茶店は空間を含めたすべてを提供しており、何か販売するよりも店内の席を活用し、店内でお過ごしいただきたい。テレワークへの活用も今までやりたいと考えたていたが、どういう仕組にすればいいのか、お客様にどう伝えればいいのか考えていたところ、今回のお話をいただいた。店舗は2階建てだが、現在2階の客席はあまり回転しておらず、そのスペースを貸し出したいと思っている」と参加までの経緯を話した。
一方、居酒屋を運営する、ワールド・ワンの羽場洋介氏は「居酒屋業界は時短営業の影響を大きく受けている。テイクアウトやランチの提供など、いろいろと模索したが、なかなか以前と同じような効果は上がっていない。テレワークスペースとして貸し出すことも考えたが『居酒屋で仕事をする』のは難しいと考えていた。しかし今回のように神戸市と一緒にできるとなると見え方が変わってくる。一緒にやることで実現できるというメリットがある。飲食業界が恐れるのは、飲み会がなくなり、お店自体を忘れられてしまうこと。そのため、どんな形でもお店に来ていただきたい」と現状を踏まえ、新たな取り組みの重要性を説いた。
支援の実施期間以降も、飲食店側が希望すれば、そのまま続ける計画。神戸市経済観光局担当部長(商業流通担当)の古泉泰彦氏は「空き店舗対策などにも活用していけると思っている」とし、新たな展開も見据えている。
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