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2021年不動産テックの行方--新型コロナの影響から本格始動するIT重説の役割まで

加納恵 (編集部)2021年01月30日 10時00分
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2020年は非対面化で「不動産テック」が大きく進んだ

 一般社団法人 不動産テック協会は1月28日、オンラインセミナー「新年座談会 2021年不動産テック業界はどうなるのか!」内で、2021年における不動産テックの動向についてパネルディスカッションを開催した。新型コロナによって受けた影響や今2021年注目のサービスなどについて話した。

 登場したのは、リーウェイズ 代表取締役の巻口成憲氏(不動産テック協会 代表理事)、リマールエステート 代表取締役社長の赤木正幸氏(同代表理事)、コラビット 代表取締役の浅海剛氏(同理事)、UPDATA 代表取締役の岡村雅信氏(同理事)、弁護士ドットコム 取締役の橘大地氏 (同理事)、サービシンク 代表取締役の名村晋治氏(同理事)。モデレーターは巻口氏が務めた。

不動産テック協会はオンラインセミナー「新年座談会 2021年不動産テック業界はどうなるのか!」を開催した
不動産テック協会はオンラインセミナー「新年座談会 2021年不動産テック業界はどうなるのか!」を開催した

 まず、巻口氏が「激動過ぎた2020年を経て、2021年の不動産テックマーケットはどう変化するのか」と訊ねた。それに対し、不動産価格のAI査定「HowMa」などを手掛ける浅海氏は「住宅売買を見ると、一度目の緊急事態宣言が出た前後の2020年3~4月は売り出しが減ったが、査定登録数は増えた。これは、現時点で売る気はないが価格だけを知りたいことが増えたということ。全体の成約は8月ごろから回復している」と現状を話した。

 不動産業界に特化したチャットツール「アトリク」などBtoBサービスを提供しているサービシンクの名村氏は「コロナ直後は、リアルな採用が難しくなり、ITに投資する企業が増えたように思う。これは2020年の後半になるにつれ顕著なり、ツールを使っての業務支援や効率化への注目が顕著になった。潮目が変わったと感じている」とコメント。

 これを受け、不動産売買プラットフォーム「キマール」などBtoB向けサービスを行なうリマールエステートの赤木氏も「大手だけでなく、中小の不動産会社にも広まってきたように感じる。人を雇う代わりにツールでなにかできないかという動きが進んでいる」と、業務支援ツールの認知拡大は進んだようだ。

 弁護士ドットコムの橘氏も、不動産テックが大きく進んだと感じた1人。「クラウドサインは対前年比で売上が2.6倍、導入企業数も2倍になった。過去4年間の実績よりも、この1年で伸びており、不動産業界でも導入数は倍になった。2021年はこの倍以上伸びると思っている。このために必要なのはすべてのプロセスをオンライン化すること。リアルの作業が1つあると、すべてがリアルでいいとなる。契約前後のプロセスを同時にオンライン化することで、伸びていくと思う」と話した。

 巻口氏は「不動産は外圧によって変わる業界。新型コロナの感染拡大を受けての非対面化や密を避ける動きが、ITツールによって解決できることがわかり、一気に進んだ」とした。

2021年注目するサービスはシェアリング、リノベーション

 不動産テックに対する「潮目」が変わる中、巻口氏は「2021年の注目ジャンルは」と質問。赤木氏は「一番影響を受けているのはシェアリングエコノミー。コワーキングやボックスタイプのワークスペースなどの注目が高まっている。また、以前のシェアオフィスは都心にあることが一般的だったが、これからは郊外型の需要が高まってくるだろう。同じ文脈から、宅配が増えたことによって、店舗がなくても飲食店を運営できるゴーストキッチンなども注目している」と例を挙げた。

 これに対し名村氏も「ボックス型のワーキングスペースを手掛ける会社を支援しているが、ものすごい量の伸びを想定しているようだ。これは間違いなくインフラになると思う」とし、ワーキングスペースの変化を示す。

 橘氏もオフィスについて言及した。「オフィスのリノベーションや移転が増え、自社ビルの売却などのニュースも目にする。これは自宅も同様で、引っ越しを検討する人も増えているようだ。これは、コロナによってリモートワークが広がり、オンラインを前提としたライフスタイルに変わりつつあるというひと。これにより、リフォーム需要は上がるため、リフォームのマッチングプラットフォームが一気に伸びると予測している」とした。

 浅海氏は「不動産ID」をピックアップ。「電子契約や書類電子化が進むにつれ、不動産IDの価値はすごく上がっていくと思う。システムがしっかりしていないと、データがつながらないという問題が出てくるだろう。この問題は2021年以降も続く」と重要性を説いた。

 これに対し、UPDATAの岡村氏は「コロナの影響により不動産テックマーケットは変化したと思うが、米国でZillowがiBuyer(アイバイヤー)を始めたような変化がでてきてもいいかなと思っている」とさらなる大きな変化を期待した。

4月に本格運用されるIT重説、普及の鍵は「一本化」

 2021年には、売買取引を対象としたIT重説が4月本格運用されるという変化も迎える。赤木氏は「どのくらい導入のハードルを下げるかが重要」と、導入の簡単さに重点を置く。

 これに対し浅海氏は「IT重説になるのは、すごくいいと思う。しかしお客様側からすれば、多分、家の売買における重要事項説明を受けるのは、人生で1~2回。紙かデジタルかはそれほど重要ではない」と指摘。巻口氏も「お客様よりも不動産会社側の課題として、IT重説を受け入れなければならない」とした。

 岡村氏も「IT重説のためだけにZoomを契約しなければ、などという動きになれば、普及はしないかもしれない。お客様側は紙、デジタルのどちらでも対応ができ、決めるのは不動産会社に依存する。ただ、電子契約を含め、デジタルに一本化してサービスができるとなれば、使ってみようという印象になると思う」と続けた。

 巻口氏が「さらにIT重説などのデジタル化を普及されるために必要なことは」と問いかけると、名村氏は「やはり、契約行為全体をIT化すること。コロナによって、移動に対する価値観は変わったと思う。重要事項説明をはじめ売買契約を結ぶまでには、お客様と不動産担当者は何度も顔を合わせる必要がある。今までは、移動を伴うことは当たり前だったが、コロナによって移動に対する考え方が変わった。IT重説をはじめデジタルに契約が一本化されれば、そちらのほうがよいと思うのでは」と移動時間短縮におけるメリットを話した。

 「不動産は、どの業界よりも横を見て仕事をする業界。近くの会社で契約をデジタル化して成果がでるとなれば、それが浸透するきっかけになるだろう」(巻口氏)とした。

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