4つのトレンドで振り返る2020年の「モバイル決済」--モバイルPASMOやドコモ口座 - (page 3)

2021年のモバイル決済業界はどうなる

 新型コロナウイルスの影響で年の大部分は停滞に終わったという印象も受ける2020年だが、実際これでキャンセルまたは延期されたプロジェクトは数多い。一方で、前述のデリバリーやモバイルオーダーのように業態変更にともなう素早い対応が小売店や飲食店に求められたり、それに呼応する形で周辺サービスが一気に整備されるなど、違う形で一気に業界の動きが進んだ面も多々見られた。2020年時点ではあまりブレイクしなかったが、2021年には接触機会をさらに減らすために「セミセルフレジ」や「オーダー用キオスク端末」導入がさらに進んだり、Amazon Go的な無人店舗、ロボットデリバリーなど、店員と客の接触機会をさらに減らす試みが進む可能性がある。モバイルアプリ対応に比べると時間がかかるため、2020年内は実証実験期間、2021年以降に実展開という流れだ。

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焼肉の和民ではロボットを使ったテーブルへの無人デリバリー実験を実施している

 また、2021年は周辺サービスが面白くなる年とも考えられる。同社が「スマホネイティブ世代向け」をうたうふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の「みんなの銀行」が来年1月にデビューする。インターネットバンクの一種であり、同系統でいえばKDDIと三菱UFJ銀行の共同事業である「じぶん銀行」があり、KDDI自身は中核事業として同行をサービス戦略に取り込んでいるが、海外で数年前から話題になっている「チャレンジャーバンク」的な動きが日本で盛んになるのではないかと考える。従来の銀行サービスとは異なり、すべてをモバイルで解決するような世代に向けたサービスだ。前段でも登場した英Revolutはその典型だが(正確にいうと銀行ではない)、”新しいタイプの銀行サービス”が話題になり、それを活用するのに必要なのがモバイル端末というわけだ。

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FFGの「WALLET+」のデモ画面。単なる銀行口座保有者の残高確認だけでなく、スマホネイティブ世代に向けたコンテンツを揃えてアプリ利用の窓口を目指す

 決済方面ではコード決済自体はすでに落ち着き、PayPayの例にもあるように周辺サービスとの融合や連携を目指し始める。Visaが推進している非接触決済のインフラ整備もある程度進むとみられ、日本国内でも南海電鉄が発表したように、Visaタッチで乗車可能な都市部の公共交通も出現するだろう。いずれにせよ、2020年に蒔かれた種の一部が華開くのが2021年というのが筆者の考えだ。

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