プロ格闘ゲーマー夫妻が見たeスポーツの今--新型コロナの影響やTwitch配信などを聞く

 近年、国内でも盛り上がりを見せている「eスポーツ」。テレビゲームやビデオゲームをスポーツとしてとらえたものの総称で、競技の一種として大会などが開催。国内でも大型の大会が行われ多くの観衆を集める状況ができつつあった。2020年は新型コロナの影響を受けたものの、オンラインを中心とした大会もさまざまな形で行われている。

 あわせて、大会で結果を残すことにより賞金などの収入を得るプロゲーマーの存在も、徐々に認知度を高めている。そんななか、対戦格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズのプロゲーマーとして活動しているももち(百地祐輔)氏ならびに、チョコブランカ(百地裕子)氏にインタビューを行った。

ももち(百地祐輔)氏(左)、チョコブランカ(百地裕子)氏(右)
ももち(百地祐輔)氏(左)、チョコブランカ(百地裕子)氏(右)

 ももち氏は、2011年に北米のプロゲームチームと契約し、プロゲーマーとしての活動を開始。カプコン主催の公式世界大会である「CAPCOM CUP 2014」で優勝し世界一になったことをはじめ、国際的な対戦格闘ゲーム大会である「Evolution Championship Series」(EVO)における「EVO 2015」での優勝や、国内で行われた「EVO Japan 2019」での優勝など、現在でも世界の第一線で活躍している選手。

 チョコブランカ氏は、国内大会での活躍から女性強豪プレーヤーとして知られるようになり、2011年に日本人女性としては初めて北米のプロゲームチームと契約し、プロゲーマーに。現在はゲームイベントの企画運営やゲーミングチームの運営など、コミュニティの発展に向けた活動などを中心としている。

 もともと名古屋で活動していたが、2014年に東京へ拠点を移し、プロ活動に専念。あわせて株式会社忍ismを設立し、後進育成を目的としたゲーミングチーム運営やイベントスペースならびにイベント企画運営などの事業も行っている。このほか、ライブ配信プラットフォーム「Twitch」で活動するストリーマー(momochoco)としての一面も持っている。また2人は、パートナーとして活動していたなかで、2015年に結婚。世界でも例がないプロゲーマー夫婦としても知られている。

 そんな2人に、現在のeスポーツの盛り上がりをどのように見ているかといったことから、新型コロナで受けた活動の影響、忍ismとしての活動や後進育成を行うことの必要性とアドバイス、ストリーマーとしての活動など、さまざまなことを聞いた。

インタビューの様子。取材はオンラインで行われた
インタビューの様子。取材はオンラインで行われた

オフラインとオンラインでの対戦は別物と考えての練習

――新型コロナはeスポーツにおいてもさまざまな影響を与えていると思いますが、プロゲーマーとしての活動としては、どのような影響があったでしょうか。

ももち氏 プロゲーマーとしては大会に出場して結果を残すことが求められますが、ストリートファイターシリーズの大会は海外で行われることが多いです。その大会が軒並み中止になりました。あっても渡米できなかったり、オンラインでの大会になったりと変化して、例年やっていた大会の活動について、2020年はがらっと変わったことが大きかったです。

 一方で国内に目を向けると、プロリーグや大会はすごく多かったです。もともと国内大会はアマチュア向けのものが多くて、高額賞金や招待制のものは少なくて。海外が少なくなった代わりというわけではないですが、国内やオンラインの大会で活動できています。

――対戦格闘ゲームでは、オンライン対戦によるラグの課題があると思います。これをどうとらえて大会に臨んでいるのでしょうか。

ももち氏 大前提として、オフラインとオンラインでの対戦は別物と考えています。今までは、海外のオフライン大会に照準を絞って、時差調整も含めて練習や調整を行っていました。オンラインでは、練習もオンラインで行うほか、オンラインでのラグや回線相性といったトラブルはありますので、それを想定した練習や心構えをして挑みます。

 2020年のCAPCOM Pro Tourもオンラインでしたけど、韓国や香港、台湾といったアジア近隣の選手を交えての大会だったので、どうしても国内同士の対戦よりはラグが生じるものです。事前に対戦のプランや戦略を練って、ラグがあったとしても対応できる準備と心構えをして臨みました。

――海外での大会が多いとのことですが、2020年は国内やオンラインが中心となったことで、移動が少ないことのメリットはあったのでしょうか。

ももち氏 やはり海外遠征は体力的にも精神的にも疲弊します。実際、米国に行って、その翌週にはヨーロッパ、その翌週に日本に戻って、また翌週には米国に行くというような、毎週のように飛行機に乗って、1カ月の4分の1は飛行機の中にいるというのもあるんです。

 もちろん海外での大会に出場して得られる経験値も代えられないものはあります。一方で、ずっと日本で活動できるのはコンディションを整えやすいし、練習時間も確保できて、質の高い練習もできます。大変ななかでも、メリットを見出せた1年だったかと思います。

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