――少し余談にはなりますけど、年齢層が高めのゲーム好きからすると、家庭用ゲームもありましたけど、かつてはゲームセンターがみんなで遊ぶ大きな遊び場といえる状態で、対戦格闘ゲームも大きな盛り上がりがありました。
ももち氏 自分たちのときは、ネットもPCもなくて、ゲームセンターが一大アミューズメントパークというぐらいの娯楽の場でした。そして対戦格闘ゲームしかないというぐらい全盛で。そして当時のゲームセンターは、結構スリルのある場所でもありましたね(笑)。少し怖い場所だけどゲームで遊びたいという、そのハラハラ感がありました。
チョコ氏:私はゲームセンターでバイトしていた経験がありましたけど、そのころはもう安心安全の場所となっていて。ストリートファイターに出会ってハマってしまって。それから好きすぎてバイトをしはじめました。
――ゲームを通じたコミュニケーションで、少し前の世代であればゲームセンターが大きなコミュニティの場となっていましたが、今はオンラインが主流となって変容していると感じられます。
チョコ氏: ゲームセンターが主流だったころは、そこにいけばいろんな人がいて直接話しができました。年齢が離れていても名前がわからなくても、顔を合わせて話せて仲良くなっていくというコミュニティがありました。今はそれが顔も知らなくてもオンラインでコミュニケーションが取れる状況で、それぞれにメリットとデメリットがあると感じています。
ゲームセンターのような環境は、社会勉強になっていたと私は思うんです。年上の方と顔を合わせてのコミュニケーションとか、実際に顔を合わせたなかで、どのようにコミュニケーションを取ったり立ち振る舞えばいいか、それが学べる場でもあったと思うんです。
オンラインでは気軽に誰とでもコミュニケーションを取ることができて、コミュニティを広げることができるというのはすごく便利です。ただ、顔も本名も知らず、人となりもわからない方との、オンライン上のコミュニケーションの取り方は、若年層のほうがむしろうまいと思うのですけど、上下関係や社会勉強的なものを得るのは難しいとも感じていて。それで、言葉で傷つけてしまうことも起こりやすいものと思っています。
ももち氏 若さで失敗してしまうことはあるにせよ、SNSの扱い方やオンラインでのコミュニケーションの取り方は、むしろ若年層のほうがうまいです。かえって年齢の高い方のほうが、距離感がつかめず失敗してしまうこともあるかなと。私たちがオフでのコミュニケーション主体でいたので、なおのことそう感じています。
オンライン上でマッチングした見ず知らずの方とチームを組んで、ボイスチャットをしながらゲームをプレイするというのは、敷居が高いと思っています。でも若年層はそこの抵抗がなかったりするので。オンとオフの良さを理解したうえで、どっちがいいという話ではなく、使い分けて立ち振る舞っていけばいいと考えます。
チョコ氏: イベントスペースを運営しているのも、オンラインや配信で仲良くなった方が、イベントなどでリアルなつながりに昇華してもらったり、いろんなつながりを作りたくて運営しているところもあります。
ももち氏 私たちはオンラインでも活動はしていましたけど、オフライン重視の考え方に寄っていたところはありました。新型コロナの影響で、オンラインも大切というところに気づけたところはあります。勉強になった1年でした。
――おふたりは、Twitchでストリーマーとしての活動も行っていますが、そもそも配信自体はいつぐらいから始めたのでしょうか。
ももち氏 確か、プロになる少しぐらい前ぐらいからかな……。そのころから、個人の方がさまざまな形で生配信を行うようになってきていましたので、面白そうだと思ったのがきっかけだったように記憶しています。プロになってからは、自分たちのファンに向けた発信として広報活動のひとつになると。そこで意識が変わっていきました。
――配信を見ていると、ストリートファイターシリーズのプレイだけではなく、雑談に終始するものや日常的なこと、ウォッチパーティで映像作品を見ている様子を配信するようなものもあります。
ももち氏 Twitchでの配信に関して、対戦格闘ゲームをメインにはしていますが、ゲームをプレイしているももちやチョコだけではなく、ファン同士で雑談を通じて距離感を縮めてもらったり、応援してもらえるようになってくれたらと思って取り組んでますので。単純に、コメントを通じて喋るのが楽しいというのもあります。
チョコ氏: ももちとチョコのコミュニティとして、みんなで楽しむ場を共有していこうというスタンスで配信を行ってます。
――配信するうえで心がけていることなどはありますか。
ももち氏 配信する以上は、自分がやりたくないことはやらない、自分が楽しむということは心がけています。つまらないと感じていることをやっても、見ている側もつまらないかなと。自分が楽しいと思うことを、みんなで共有したいということですね。
――新型コロナの影響でゲーム配信を始める方、特に著名人の方が増えた印象もありますが、この状況はどう思いますか。
ももち氏 すごく嬉しいことですし、ファン層もすみ分けもできていると思うので、このことで自分たちのファンがそっちに移ってしまうということは全くないと考えています。それこそ対戦格闘ゲームをプレイしていただけたら、アプローチしにくい方々に興味を持っていただけるきっかけにもなります。自分たちが発信できる強みと、著名人の方々が発信できる強みは全然違うものだと思います。
チョコ氏: 配信を行う方だけではなく、ゲーム実況の生配信を見る習慣がなかった方が、新たに見てみようと思っていただけたことも多いので、それはすごく嬉しいことです。
――国内でもさまざまな配信プラットフォームがあるなかで、Twitchについては、コアなゲームファン、そして海外のユーザーも多い印象があるのですけど、そのことを感じることはありますか。
チョコ氏: Twitchでは、海外を含めた広いコミュニティを作ることができるのは特徴ですね。英語のコメントも多いですし、ブラジルから見ている方もいらっしゃいます。
ももち氏 深夜から朝方にかけて配信することもあるのですけど、時差の関係でブラジルからだといい感じの時間になっているんです。朝7時ぐらいの配信だと、ブラジルとかアルゼンチンの方が挨拶をするということはあります。自分たちはもともと米国のチームに所属していたこともあり、大会も海外が主流なので、海外にもファンの方はいらっしゃいます。Twitchだと海外のファンの方に発信しやすいですね。
チョコ氏: 逆にTwitchでないと、海外のファンや選手との交流を持てる場がないと。今の状況だと渡航できないので、なおさら使いやすく交流しやすい場になっています。
ももち氏 サブスク(※配信チャンネルを支援するサブスクライブ)を、60カ月ぐらいしていただいている海外の方もいらっしゃいますね。
チョコ氏: 以前は本当にゲームだけの配信がほとんどだったのですけど、最近のTwitchは、日本人の配信者も増えてますし、雑談とかDJとかの配信も増えて幅も広がってきてるという印象もあります。
――今後の活動について、考えていることなどがあれば教えてください。
チョコ氏: 今は競技シーンというよりは裏方の活動に注力しているところがあるので、今以上にチームの選手が活躍できるように体制や環境を整えて、選手やチームの人気が上がってくれればいいと思っています。
個人としては、配信ももう少しできたらと。海外に向けての発信がまだまだできていないということもありますし、実は料理の配信を行ったりとか、車が好きというのもあるので、新しいチャレンジを通じて発信できたらと思います。
ももち氏 プレーヤーとしては、まだまだ第一線でやっていきたいと。先日の大会(※「CAPCOM CUP 2020」に向けた予選大会で、優勝者に自動出場権が与えられる「CAPCOM Pro Tour Online 2020 アジア-東大会2」)で準優勝で終わってしまって、かなり悔しかったんですよね。以前なら、次の週にはまた大会があるということで、気持ちの切り替えを早くできるのですが、2020年は大会が少なくて、しっかり反省できるぐらいの時間があります。まだまだ悔しいうちは第一線でできるので、しっかりと世界を目指していくというのはあります。
忍ismとしてはこの情勢を踏まえてオンラインでの取り組みなど、今までとは違った活動のなかで手ごたえを感じたところもあります。いいところを取り入れて、より新しいもの、良いものをファンやコミュニティに向けて発信なり、提供できたらと思います。
Twitchでの配信はもっと見ていただく方を増やしたいですし、クオリティも上げていきたいです。ウォッチパーティのような新しい機能を活用した配信もそうですし、自分たちのアイデアが発揮できる内容にもしていきたいです。特に海外のファンが多いのはわかっていても、まだ還元できていないところもあるので、海外の方も一緒に楽しんでもらえる取り組みができたらと考えています。
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