インドのEVOFoodsは植物性の代替卵を開発するインドのスタートアップだ。EVOFoods共同創業者兼CEOのKartik Dixit氏は卵のコレステロール値の高さや、1kgの卵を生産するためには1kgの鶏を生産するよりも多くのCO2を排出することなどを指摘した。
「10年間で40万人以上に実施された研究によると、毎日の食事でタンパク質を植物ベースのタンパク質に置き換えれば、死亡リスクが最大24%減少すると示されている。そこでEVOエッグの登場だ。緑豆、ひよこ豆、エンドウ豆を独自の特許出願中の手法で混合したもので、オムレツやスクランブルエッグ、エッグロールなどの料理を作れる。タンパク質が多くて脂肪が少なく、コレステロールが0だ。現在このカテゴリーの競争環境は多くのプレーヤーが『味』と『機能性』に焦点を当てていたが、EVOエッグは味、機能性に加えて『栄養』を提供できる。価格も既存製品より手が届きやすくなるように設定している。当初はインドの『HORECA(ホテル、レストラン、ケータリング)』業界をターゲットにしていたが、新型コロナウイルス禍で市場環境が悪化しており、最初の半年間は消費者への直接販売に戦略の軸足を移した。インドの大都市であるムンバイから、デリー、バンガロールに展開していく。現在20以上のレストランチェーンと提携しており、その後はそれらのレストランに納入するもくろみだ。いくつかの目標を達成した後に、2022年には米国市場と、インドの小売店にも参入する」(Dixit氏)
Dixit氏は、現在植物ベースの代替卵市場は世界中で急速に成長しており、「2023年までに13億ドルの産業になるとみられている。植物ベースの肉、乳製品、バターの合計成長率も高くなっている。最終的には2000億ドルの既存の卵産業をディスラプトできると考えている」と語った。
英国のDeep Branchは動物細胞の培養や植物ベース、昆虫ベースの代替タンパクではなく、地球温暖化問題の原因となっている「二酸化炭素」に着目した代替タンパクスタートアップだ。
Deep Branch共同創業者でCEOのPete Rowe博士は「未来の肉の消費量が現在の2倍になると予測されているが、畜産動物の飼育で排出される二酸化炭素は地球温暖化に大きな影響を与えている。世界的に私たちは『二酸化炭素の削減』と『持続可能な方法による食料供給』の2つの大きな問題に直面している」と説明する。
二酸化炭素削減とサステナブルな食糧供給を両立する方法としてDeep Branchが生み出したのが「二酸化炭素からタンパク質を生み出す」というものだ。
「発酵というとワイン造りなどを思い浮かべるだろう。ワイン造りはブドウに含まれる糖分と酵母菌を使ってアルコールを造るが、私たちのプロセスでは糖分の代わりに二酸化炭素を炭素源として使用し、微生物はこれをタンパク質に変換する。弊社はそれを乾燥粉末にした上で動物飼料生産者に提供する。飼料生産者は、それをほかの成分と組み合わせて複合飼料を作り、畜産動物を育てる農家などに販売するという仕組みだ」(Pete Rowe博士)
Deep Branchは再生可能エネルギー発電で英国トップの大手電力会社Draxとパートナーシップを結び、発電所で排出される二酸化炭素からタンパク質を生成する輸送コンテナサイズのプラントを導入している。
「再生可能エネルギー製造過程でも二酸化炭素を排出しているが、それを単に大気に排出するのではなく、サステナブルかつ価値のあるものに変換している。パートナー企業が弊社製品を購入して二酸化炭素からタンパク質を生産するためには、『輸送用コンテナサイズのスペース』と『パートナー企業の産業ガス管へのアクセス』が必要になる。この技術を商用化して社会によりインパクトを与えるためには、外部パートナーシップが必要になる」(Pete Rowe博士)
二酸化炭素から生成するタンパク質が大豆に比べてどれだけ価格優位性があるのかという質問について、「大豆タンパク質を上回る品質は、より高い価格帯で勝負できる」と語った 。
「高品質なものは高価格帯になるというのは、すでに魚粉マーケットでも見られている。私たちの製品である『Proton』を使用することで、より環境に優しく、栄養を摂取することが可能になる。このシステムを本格的に実装すると、単一の生産拠点から毎年自動車30万台から排出する二酸化炭素を削減できる。その他の場所や企業で導入されれば、大きなインパクトを与えられる。食糧安全保障の観点からも、タンパク質の現地生産が評価される場所なら、どこでも同じことができる。よりサステナブルな環境を一緒に作っていきたい」(Pete Rowe博士)
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