iPhone 12 Pro Maxでもうひとつ際立っている差は、写真全体のボケ、つまり被写体はシャープに捉えて背景はぼかすという選択的なフォーカスだ。
焦点の合う面積の広さと、焦点から外れてボケが生じる面積の広さは、センサーのサイズによって決まる(他の条件がすべて等しい場合)。言い換えれば、センサーが大きいほど、絞り値を小さくしたときのボケも大きくなるということだ。
その効果は、ほぼどんな写真にも表れる。ボケを生かすと、スマートフォンで撮影したとは思えないほど、写真のでき映えがプロっぽくなる。次の写真は、前景の岩に近づいたうえで、遠方に焦点を当てて撮影している。
センサーが大きくなると、取り入れられるデータも多くなる。つまり、光量が多く、ディテールが細かく、ノイズが低く、ボケがより美しい写真になるということだ。
しかもiPhone 12 Pro Maxは、iPhone 12 Proの1.4umに対して1.7umと、ピクセルサイズも大きくなっている。ピクセルサイズが大きくなった広角カメラでは、前景から中景、遠景の海岸まで、入り組んだ模様や微細な質感が再現され、驚異的なディテールを得ることができる。
次のアワビの貝殻の写真で、右側の模様に注目してほしい。かすかに煌めく色合いも、その周囲の石に見えるディテールも、圧倒的だ。
下の写真は、焦平面が狭く、質感とディテールが細かい。これも、センサーが大きい広角レンズの威力だ。
iPhone 12 Pro Maxの望遠レンズは65mm相当となった。iPhone 12 Proは52mm相当、光学2倍に対してiPhone 12 Pro Maxは光学2.5倍ということになる。したがって、iPhone 12 Pro Maxのカメラの焦点距離は13mmから65mmまでをカバーする。
広い範囲の海岸風景は広角写真向きだが、2.5倍ズームでは、道すがら出くわす場面で被写体の特定のディテールを際立たせることができる。
プロの写真家は、カメラレンズの重要性を分かっているので、高品質なレンズには当たり前のように10万円以上を費やす。だからこそ、iPhone 12 Pro Maxでカメラ性能がここまで向上し、65mm相当レンズが搭載されたことを考えれば、iPhone 12 Proより100ドル(1万1000円)高くても、その価値があることになるのだ。
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