Appleの「iPhone 12 Pro」と「iPhone 12 Pro Max」に、全盲や低視力のユーザーに向けた新しい機能が追加される。基本的には、人の接近を感知する機能だ。
本体の背面に新しく搭載されたLiDARセンサーを利用して、まわりの人がユーザーにどのくらい近いかを検出する機能で、Appleはこれを「People Detection」と命名した。LiDARは深度センサーの一種であり、拡張現実(AR)アプリに応用されたり、自動運転車の「眼」として利用されたりしている。それをAppleは、視覚障害をもつユーザーの行動を補助できるように、アクセシビリティー機能に組み込んだのだ。
例えば、全盲の人がスーパーで買い物をするとき、iPhone 12 ProでこのPeople Detectionをオンにしておくと、レジ待ちで列を進むタイミングを教えてくれる。あるいは、歩道を歩いているときであれば、まわりの通行人がどのくらい近いかを警告してくれる。全盲または低視力のユーザーがこの機能を使えば、レストランなどのテーブルで、あるいは公共交通機関で空席を見つけることもできるし、検診のときや、空港の保安検査で列を作るとき、ソーシャルディスタンスを保つことも可能になる。
People Detectionでは、まわりの人とユーザーとの距離がフィート単位またはメートル単位で通知され、有効範囲は最大15フィート/5メートルだ。iPhone 12 Proの広角カメラが視野に人を捉えると、それが検出の対象となる。近くに複数の人がいる場合には、ユーザーに最も近い人との距離が検出される。
この技術は、近くリリース予定とみられる「iOS 14.2」で利用できるようになる。Appleは米国時間10月30日、開発者にiOS 14.2の新たなベータ版を公開したところだ。
世界保健機関(WHO)が2019年に発表した報告書によると、視力障害をもつ人または全盲の人の数は全世界で22億人以上にのぼるという。また、米疾病予防管理センター(CDC)によると、米国内では、40歳以上の100万人以上が全盲だとされている。2050年までには、この数字が900万人へと急増する恐れもある。原因は、「糖尿病をはじめとする慢性疾患が増えており、国民人口の高齢化も進んでいる」ことにあるとCDCは話している。
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