2019年モデルとして登場した有機ELテレビ「ビエラ GZ2000」は、有機ELテレビの金字塔とも言えるモデルだった。この後継機として2020年に登場したのがBS4K/110度CS4Kダブルチューナーを内蔵した「ビエラ HZ2000」シリーズ。名機であるGZ2000をさらに上回る画質を実現し、この1年間でパナソニックのエンジニアたちは一体何をしたのか大変気になるところだ。
GZ2000のダイナミックレンジを引き上げ、格段に画質を向上した要因は、自社設計、組み立てによる有機ELパネルの搭載だ。そもそも有機ELパネルはLGディスプレイからの外部調達であり各社に違いがない。そこでパナソニックは、有機ELのセルのみを購入し、ディスプレイ部分を自社工場で組み立てるオープンセル方式を採用。その時、特別素材の放熱プレートと特別素材の貼付けシートを有機ELパネルとバックカバーの間に挿入することで、放熱性能を高めた。
有機ELは黒の沈み込みが特徴だが、白レベルが上がりづらく、HDR画質がスタンダードになりつつある今の時代、液晶に比べると輝度感を感じづらい。これを解消するため画面を明るくすると熱が放出され、リミットがかかってしまう。そこで、効率的な放熱板を取り入れ熱を逃せば輝度も上げられるというのが、放熱プレート導入の背景だ。
HZ2000はその技術を踏襲し、さらに完成度を上げた。実際見てみると、格段に輝度が上がったというわけではないが、画面全体が明るくなり、有機ELの明るさ画質を高めたという印象。知性を感じさせる画質になったと感じる。4K Ultra HD ブルーレイソフト「宮古島」(ビコム)を視聴すると、海岸に打ち寄せる波が太陽の反射を受けキラキラと光る様子が再現される。白のレベルが高く、紺碧の青空に雲が浮いているが、雲の白側にもきれいな階調が生じている。微細な部分に内在する色のエネルギー量が上がっている。
暗部の階調表現もより鮮やかになった。黒がより締まった中に微細な階調が存在しており、そこがGZ2000からの進化点と言えるだろう。
パナソニックはプラズマテレビを長く手掛けてきたメーカーだけに、同じく自発光である有機ELパネルの画づくりには徹底的にこだわる。モノづくりは大変すばらしく、日本のテレビを牽引してきたメーカーの1つであると強く感じる。それだけに、現時点で8Kテレビについて発表がないのが非常に残念。ぜひ、今後力を入れた8Kテレビを見せてほしい。
麻倉怜士のデジタル時評--4K8K勢ぞろい、テレビ最新事情【シャープ、東芝、LG編】は11月18日に公開する。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」