Appleは米国太平洋夏時間9月15日午前10時(日本時間9月16日午前2時)から、オンラインで新製品発表イベントを開催した。
例年、世界中のプレスをカリフォルニア州クパティーノにあるApple Parkに集め、iPhone・Apple Watchを中心とした新製品を披露する。しかし今回は、2020年6月に開催した世界開発者会議WWDC20と同様に、基調講演を作り込まれた1時間強のビデオにまとめ、多言語の字幕を用意して放映した。
Appleはこのスタイルに手応えを感じているようで、新型コロナウイルスの感染が治まらないうちはもちろんだが、今後も同様のイベントスタイルを継続するかもしれない。
その理由の1つは、正確な情報伝達にある。これまで基調講演はリアルタイムで行われていたため、英語でのサービスだった。そのため、各国のジャーナリストが同時通訳でイベントを訊いたり、ブリーフィングで詳細な説明を受けることで、各言語に正確な情報が伝わってきた。
しかし、今回のようなビデオプレゼンテーションであれば、各国の人が同時に母国語の字幕付きでプレゼンテーションを視聴できるようになるため、ジャーナリストによる記事を待たずに、より多くの人々に情報を正確に伝えられる。
今回のイベントでは発表されなかったが、2020年確実に登場するとみられている製品は、iPhone、Apple Silicon搭載Macが挙げられる。また、オーディオ・ホーム製品の刷新はなく、成長市場だけに、これらの製品の登場にも期待がかかる。
アップルが9月のイベントで発表しなかった5つの製品(9/17)Apple Watchは2015年4月に発売され、翌年から毎年9月にアップデートされてきた。Series 4でディスプレイを大型化しLTPO OLEDへとディスプレイ方式を変化させたが、基本的には角を落とした四角い文字盤という意匠を保っている。
Series 6では、A13ベースと言われるデュアルコアのS6チップが搭載され、処理性能が向上しているが、新しいシステムの目玉はその省電力性の高さだ。Series 5から採用された常時点灯ディスプレイは引き継がれるが、明るさは25%向上し、日中の視認性は大きく改善した。にもかかわらずバッテリー持続時間はより長くなっており、これは体感でも分かるレベルだ。加えて充電も1時間半で100%になるよう高速化された。
Apple Watchのカタログでのバッテリー持続時間は18時間と変わらないが、たとえばあえて常時点灯ディスプレイをオフにすると、ディスプレイの輝度を最大にしていても、Series 5と比較しても、手元のSeries 6では、4割程度バッテリーが長持ちしている。ハードウェアとしては、今回のアップデートで、血中酸素ウェルネスアプリが利用できるようになった。血管に赤外線を照射し、血中酸素飽和度を計測できる機能だが、こちらは心電図と違い医療用ではないとしている。
今回は更に、ミドルレンジを構成するApple Watch SEをラインアップに加えた。デザインはSeries 4と同様だが、Series 5に採用されていたS5チップを内蔵し、心電図と血中酸素飽和度の計測機能を省いている。しかし日本では40mmのGPSモデルで2万9800円からとなっており、上位モデルとバンドも共通化されているため、最新機能や、ステンレスやチタンなどのケースが必要なければ、身近な選択肢として検討して良いだろう。
Apple Watchは2017年モデルで旧デザインのSeries 3、ミドルレンジのSE、上位モデルのSeries 6の3モデルのラインアップの構築に成功した。AppleはiPhoneでもiPhone SE・11・11 Pro、iPadでも、iPad(第8世代)・Air・Proと、各製品を3モデルで構成するラインアップを作っており、Apple Watchもこのメソッドに則った戦略を構築し終えたことになる。
新Apple Watch Series 6/SE、開封からセットアップまで--注目の血中酸素ウェルネス機能も(9/17) Apple Watchに2つの新モデル--ハイエンドの「Series 6」と2万9800円からの「SE」(9/16)AppleはiPadラインアップも刷新した。まずはiPad(第8世代)の登場だ。これまでも、最も販売台数を伸ばしている廉価版iPadを、A12 Bionicチップを搭載して性能を大幅に引き上げる強化を行った。しかし価格は据え置かれている。
新型コロナウイルスによるオンライン授業の需要増大で、2020年第3四半期、iPadの売上高は前年同期比で31%増となるなど、作っただけ売れている状態が続いている。特に米国では9月の新学期需要で、自治体や家庭での導入が進んでいるほか、日本でもGIGAスクール構想による1人1台のデバイス提供が予算化され、iPadの需要が大幅に伸びている。
そうした中で、廉価版iPadに今回初めてニューラルエンジンが搭載されたことは、今後インパクトを与えていくかもしれない。強力なチップは、ビデオ編集など新しい教育現場における活動を支えているが、機械学習処理の性能が高まることで、ARやシミュレーション、画像認識、動画解析などのアプリがより身近になる。これまであまりデバイスが用いられてこなかった体育などの授業でも、AIを用いてフォーム改善や自動スコア計測を行うアプリの活用などに期待できる。
また、ミドルレンジを構成するiPad Airはフルモデルチェンジとなった。Face IDには対応しないものの、11インチiPad Proと同じデザインとなり、トップボタンにTouch IDを内蔵した。Apple Pencilも第2世代に対応し、Magic KeyboardなどのアクセサリもiPad Pro用のものがそのまま利用できる。
このデバイスに搭載されたのは、まだ世に出ていなかった2020年版のApple Silicon、A14 Bionicチップだ。タブレット向けでは世界で初めて5nmプロセスで製造されており、6コアCPUと4コアGPUの構成で登場する。
世代としてはA12Zを搭載するiPad Proより2世代新しいA14 Bionicだが、コア数などの関係から、A12Zを搭載するiPad Proが最も高いパフォーマンスを維持している。
iPad無印モデルに第8世代が登場--「A12 Bionic」に刷新、税別3万4800円から(9/16) “ほぼiPad Pro”になった新型「iPad Air」登場--Touch ID内蔵、税別6万2800円から(9/16)AppleはApple WatchとApple TVやiPhone・iPadなどを用いてフィットネスを楽しむ事ができるサブスクリプションサービス「Apple Fitness+」を発表した。年内に米国などの英語圏で始まり、順次拡大するとしている。
このサービスは、ヨガや筋力トレーニングなど10の種目について、世界のトップクラスのトレーナーのトレーニングをビデオで受ける事ができる。その際Apple Watchを巻いておくことで、心拍数やアクティビティリングの達成などを画面に表示することができ、エクササイズの達成度合いを記録していく仕組みだ。
新型コロナウイルスの影響で巣ごもり生活が続く中、室内でも運動を楽しめるサービスとして、すでに任天堂Switch「リングフィットアドベンチャー」が人気を博している。またApple TV向けにもエクササイズアプリがあり、Apple Watchと連携するアプリも存在している。
Fitness+を新たに加え、Apple Music、Arcade、News+、TV+、iCloud追加ストレージとサービスが増えてきた。一方、ユーザーの可処分時間と財布は増えるわけではなく、Apple内でもサービス同士で時間とコストの奪い合いが始まろうとしている。そこでAppleは、サービスのバンドル化に着手した。
「Apple One」はApple Music、TV+、Arcade、iCloud追加ストレージをバンドルし、個人向け、家族向け、米国ではNews+とFitness+を加えたプレミアの3つのメニューを用意した。日本で提供される個人、ファミリーでは、iCloud追加容量が50GBか200GBかの違いがあるが、個別に契約するよりもいずれも1200円程度安くなっており、ファミリープランは家族のメンバー6人で共有できる。
アップル、「Apple Watch」を使ったフィットネスのサブスクサービス「Fitness+」発表(9/16) アップル、複数のサブスクをまとめた「Apple One」を秋に提供へ--月額1100円から(9/16) 「Apple One」に残された3つの疑問--ユーザー獲得にはこうするべきかも?(9/18)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」