先週は、Apple内でも急成長が続くサービス部門に関連するニュースが多数報じられた。中でも最も大きな問題は、人気ゲーム「フォートナイト」が、AppleのApp Store、GoogleのPlay Storeから削除された問題だ。
フォートナイト内に直接支払い機能を追加し、App Storeの課金システム経由よりもユーザーにとって有利な条件を示したのだ。これを規約違反だとしてApple、Googleはアプリをストアから削除した。
同時に、フォートナイトを開発するEpic GamesはApple、Googleをそれぞれ提訴し、またAppleがかつてIBMのPC支配から解放する「Macintosh」を発表したことで知られる著名CM「1984」のパロディを制作し、ユーザーを味方につける戦略に出ている。
Epic Gamesは、Appleに対して「市場の支配、競争の素子、イノベーション抑制を目論む巨大企業」と断じ、Googleに対しては、「当初掲げていた理想を放棄している」、つまりAndroidをオープンエコシステムとうたうのは約束の反故だと主張した。
AppleはApp Storeにおける手数料率を一律30%(サブスクリプションで1年以上経過しているユーザーは15%)と設定しており、フォートナイトのアプリ内課金についても同様の条件を敷いていた。しかし今回Epic Gamesは手数料率を下げた上で、これをユーザーに還元するとしている。
具体的には、フォートナイト内通貨1000V-BucksをApp Store課金で購入すると9.99ドルかかるが、Epic Direct Paymentで支払うと7.99ドルで購入できる。
この問題は、Netflix、Amazon Kindle、Spotifyなどのアプリで繰り広げられてきたそれと大きな差はない。つまり、課金ゲートウェイを握っているAppleに、必ずゲーム内の売上の3割を徴収されてしまう仕組みとなっており、コンテンツ系のアプリについては外部でのアカウント処理をアプリに持ち込む「例外」を許してきた経緯があった。
争点は、どこを落とし所にするかだ。基本的には、Appleに対して、手数料率の割引を認めてもらうことがゴールではないか、と思う。
一方のAppleは、App Storeの原則である30%の手数料を引き下げる交渉に応じるのかどうか、またこれに付随するマーケティング、言語対応、為替手数料無料といったサービスを削るのかが注目となる。
Epic Gamesとしても、App Storeを通じたアプリの配信ができなくなれば、10億ものiPhoneユーザーを失うことになる。iPhoneでできることはゲームだけではなく、フォートナイトのためにiPhoneを捨てる決断を下すユーザーはわずかだ。そもそも、Androidも現状は同じ状態ではあるが。
別の視点から見ると、米国連邦議会、米中問題なども視野に入る。ちょうど先日、米国議会にGoogle、Amazon、Facebook、Appleのトップがオンラインで公聴会に出席し、プラットホーマーによる独占的なビジネスや敵対的買収について追及を受けた。前後して各企業はコロナ禍にもかかわらず好決算、特にAmazonとAppleは予想を覆す決算を出し、ばつの悪さも見せたばかりだ。
米国大統領選挙に民主党候補であるジョー・バイデン氏は、カリフォルニア州選出の上院議員、カマラ・ハリス氏を副大統領候補に指名した点も気になる。
彼女はカリフォルニア州バークレーで育っており、テクノロジー企業については理解がある。一方カリフォルニア州の司法長官まで上り詰めた経歴を持ち、公平性や弱者救済は彼女のこれまでの選挙活動のスローガンでもあった。GAFAといわれるプラットホーマーへの理解と公平なビジネス環境の維持は、相反する課題と認識されるかもしれない。
一方、米中問題もくすぶりを見せる。現在、TikTokとWeChatの締め出しについて、トランプ大統領は大統領令に署名し、TikTokはMicrosoftやTwitterが買収を検討していると伝えられた。WeChatについても、中国が運営母体のままでのサービスの禁止が指摘された。
WeChatについては、中華圏をはじめとする世界で重要なメッセージアプリとして普及しており、これを禁止することでiPhoneの売上を最大30%抑制するとの分析も報じられた。WeChatを運営するのは中国Tencentだが、実はEpic Gamesの株式の4割をTencent Gamesが保有しており、ワシントンD.C.でのロビイングに及んだ際に、問題をより複雑にするかもしれない。
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watchOS 7で最大の進化は、睡眠計測機能が追加されたこと、文字盤の共有、フィットネス機能へのダンスなどの追加、高低差や自転車レーンなどを考慮する自転車用マップ、手洗いタイマーなどの新機能だ。
Apple Watchはスマートウォッチとしてだけでなく、腕時計としても世界最大規模の売上高を上げており、Appleのウェアラブル・ホーム・アクセサリー部門の急成長の立役者となっている。2020年第3四半期決算の時点で、年間の売上はFortune 140企業規模(Visa、Broadcom、サウスウエスト航空と同等)にまで成長した。
手洗いタイマーのように、人々の生活の中で必要な機能を積極的に取り入れる姿勢を見せている点もユニークだが、他社製デバイスに比べて弱点となっているバッテリー持続時間と、これを理由に睡眠トラッキングの機能が提供できていなかった点は、まずはwatchOS 7で充電タイミングを細かく指示する仕組みを取り入れる改善から始まっている。
2020年モデルのApple Watchでは、バッテリー持続時間にフォーカスを当てたアップデートによって、睡眠トラッキングがより現実的な機能として活用できるようにするかもしれない。
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