オードリー・タン氏とLINEのシン代表が対談--両者が考える「テクノロジーとの向き合い方」 - (page 2)

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台湾でもLINEがコロナ対策をサポート

 続いて、話題はCOVID-19への対策における、行政機関と民間企業の協力や貢献についてへと移る。タン氏は、台湾では、隔離場所の提供に宿泊施設が協力してくれたことについて、こう話した。

 「今回私たちは、ロックダウンではなく国境での隔離を実施することにし、それが主要なコロナ対策になりました。(中略)その代わり、海外から台湾に戻ってくる人たちには、必ず14日間の隔離生活をしてもらうようにしています。安全に自主隔離できる場所がない人には、場所を確保する必要がありますが、民間のホテル、特にふだん外国人観光客が宿泊するような高級ホテルが『隔離ホテルプログラム』に無償で参加してくれることになったのです。隔離対象者は整った環境で、質の良い滞在ができるので、休暇気分で14日間外出することなく滞在してくれますし、高額ではありませんが、1日約33米ドル(3500円)を支給しています」

 そのほかには、IT企業のよる協力があったことも明かす。具体的にはチャットボットの開発により、管理担当者の負担を低減でき、夜間対応の体制構築にも貢献したことを挙げた。5月に実施したアンケート調査では、95〜96%の利用者が、このアシスト機能を好意的に受け止めていたという。

 「例えば、HTCやAIチームのDeepQがLINEと連携して、自宅隔離している人用のチャットボットを開発してくれました。自宅で隔離生活を送ってもらうには、体温、体調はもちろん、彼らが家で一人で寂しくなり外出してしまわないよう、精神面のチェックをすることが大切です。当初、これには当局の担当者と、時には警察までもが対応していましたが、HTCやLINEと連携して、自宅で隔離生活をしている人をケアするチャットボットを1カ月程度で開発して、4月に導入することができました」

 一方、日本でもLINEがCOVID-19対策に貢献している。シン氏は、例として全国調査の実施や、オンライン健康相談、ビデオ通話機能の強化などの施策を行ってきた点を強調。さらに、東日本大震災がサービス誕生のきっかけの一つであることを振り返り、「LINEがどのように社会貢献できるか」について社内で自主的に協議を行なっていると語った。

インフォデミックを阻止するのが重要

 タン氏は、LINEの貢献できる分野について、インフォデミック(真偽不明の情報やフェイクニュースが流布し、社会的なパニック状態を招くこと)を抑制することも重要だと述べた。

 「台湾ではパンデミックの可能性はほぼありませんが、インフォデミックへの対策に期待しています。人々は陰謀説やデマなどに対して、ストレスと不安を感じるからです。LINEでは知り合いに情報を真実かどうかを確認しないままシェアできてしまう。TwitterのようなSNSに公開されれば多くの人が見るので、誰かがスパムとして簡単に通報できますが、LINEは完全に暗号化されているので、そのデマが世間で広まっているのかわかりません」

 オードリー氏曰く、例えば、台湾では即席麺の買い占めが起こったのち、「カップ麺は消化に32日かかるので体に悪い」といったデマが流れたとのこと。こうした背景をもとに、LINEでのファクトチェックができたら良いだろうと感じ、「LINE Fact Checker」という公式アカウントを設けたという。

「LINE Fact Checker」
「LINE Fact Checker」

 「ファクトチェックができるようにしたことで、20万人以上のユーザーが通報し、4.1万件もの話がデマだと判断されました。発言の自由と通信の機密を守りながら、これができるLINEは頼もしいです」とタン氏は語る。

 また、同氏は、トレンドマイクロによって、受信メッセージの広告や動画が詐欺なのかを判断する「ドクターメッセージ」が開発されたことも紹介。LINEがファクトチェックやアンチウイルス業界と連携する重要性を強調した。なお、こうした台湾で始まったファクトチェックの取り組みは、「CoFact」という社会的改革として認識されており、タイでも同じ取り組みが始まっているという。

シン・ジュンホ氏は、LINEとしての役割を俯瞰
シン・ジュンホ氏は、LINEとしての役割を俯瞰

 シン氏によれば、上述した取り組みに関しては、台湾のLINEチームから強い要請があり、LINE社としても全面的なサポートし、社内プロジェクトとしてローンチした経緯があったという。同氏は、「民主主義を維持しながらデマを防ぐことができる良いシステムだという評判を受け、良いプロジェクトになったとプライドを持っている」とも胸を張った。

 同氏は「LINE NEWS」や台湾の「LINE TODAY」といったサービスを通じて、どのように迅速に、かつ正しい情報をユーザーに伝達するかも重要な課題だと認識している、と付け加えた。さらに、会社、学校、病院などに行けない状況で、コミュニケーションが遮断されることに対して懸念を持っており、これをどう解決するかが同社としての課題であるとも語った。

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