デジタルハリウッドは9月9日、地域起業家・エンジニア養成コミュニティ育成支援サービス「G's ACADEMY UNIT_」を9月10日に開始することを発表した。第1弾として、P2Pラーニングでプログラミングを学ぶ「G's ACADEMY UNIT_SAPPORO」を10月に開校する。運営を担うシーラクンス代表取締役社長の藤澤義博氏は「地方でも世界の学びに触れられる環境を北海道に取り込みたい」と開校理由を語った。
起業家・エンジニア育成スクールとして2015年4月に創立した「G's ACADEMY」は、これまで51社の起業と投資家から約36億円の調達を実現してきた。現在は東京と福岡に校舎を構えているが、「大阪や名古屋に進出してくれ、という声をいただいてきた」(G's ACADEMY Founder 児玉浩康氏)という。昨今のコロナ禍で同校はリモート授業を実施している。そこで蓄積したコミュニティ開発の知見を応用したのが、事実上のオンライン版G's ACADEMYとなるG's ACADEMY UNIT_だ。
このサービスについて児玉氏は「語弊はあるがコロナ禍で生まれたサービス」と述べつつ、「地方の雇用発生や地場企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)をうながし、企業の進化をうながす」サービスだと語る。地場企業をパートナーとして提携し、スタートアップのエコシステム創出を目指すものだが、同校は「プログラミングスクール事業ではない。収益を見るとビジネスにならないものの人が育つ」(児玉氏)とサービスの目的と意義を説明した。
G's ACADEMY UNIT_SAPPOROの運営は、小中学校向けプログラミングスクール「D-SCHOOL北海道」などを手がけるシーラクンスが担う。同社を傘下に持つサツドラホールディングス代表取締役社長 兼 CEOの富山浩樹氏は、「(人口減少や既存市場の縮小に対して)地域を面で捉えて、社会課題を解決する必要がある」との理由から本事業への参画を決定。デジタルハリウッド 代表取締役社長 兼 CEOの吉村毅氏も「札幌から地域のDXを推進できる人材を、そして企業を生み出していきたい」と意気込みを語った。
G's ACADEMY UNIT_SAPPOROは札幌のハブスペースにコミュニティマネージャーと受講者が集まり、G's ACADEMY TOKYOの講師とオンラインで接続。東京校や福岡校で提供している「DEVコース」のオンラインライブ授業を行う。チューターによるオンライン個別サポートも行われる。G's ACADEMYは授業内容について、「ポイントはコミュニティ内で教え合う『P2Pラーニング』。プログラミングは目的(=開発したいアプリケーション)がないと学べない」と児玉氏は説明する。
P2Pラーニングとは、受講者自身が質問側と回答側に分かれることで、両者の学習効果を高める手法。質問側は相手が分かりやすい質問を行うことで思考の整理につながり、回答側は質問者と一緒に調査し、教えることで自身の理解を明確にする。さらにプログラム内のバグを修正していくことで回答側の技術向上をうながす。
G's ACADEMY UNIT_SAPPOROの受講生選抜は、G's ACADEMY同様にIQテスト試験、もしくは受講者が実現したいビジネスアイデアをプレゼンテーションするアイデア試験のいずれかを選択する。いずれの試験も2段階選抜で合格点数を定めており、合格した上位15名のみ受講可能。受講内容となるDEVコース オンラインの期間は6カ月で最初の1カ月を通って継続するか判断できる。また、卒業認定を受けると会員となり、G's ACADEMYの各種サービスを受けられる。
9月10日からG's ACADEMY UNIT_SAPPOROの学校説明会受付をオンラインで開始。同校の説明会は東京校からのオンライン中継で9月19日15時から実施されるという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス