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ソニーの商号を引き継ぐ覚悟--ソニーエレクトロニクス石塚社長が語るビジョン - (page 2)

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ヒット商品の創出はソニーの「伝統芸能」、失敗もあるが挑戦し続ける

 ソニーエレクトロニクスの今後の製品戦略における基本姿勢についても触れた。その基本姿勢は、「高付加価値のプレミアム路線は崩さず、ソニーらしい価値を提供する」(石塚氏)というものだ。

 ここでは、デジタルカメラの事例をあげてみせた。デジカメ市場全体は縮小傾向にあり、これに新型コロナウイルスによる外出自粛や海外渡航の禁止などが追い打ちをかけ、市場縮小がさらに進んでいる状況にある。

 だが、「デジカメ市場では、ソニーらしい特徴を打ち出すことができ、新たな市場を開拓している」とする。それが動画にフォーカスした製品群だ。

 「VLOGCAM ZV-1」は、スマホの撮影では満足しないユーチューバーなどの「ハイエンドのカメラを使いたい」というニーズを捉えた商品で、オンライン向けビデオなどの作成に最適化している。6月の発売以来、当初予想を上回る実績になっているという。

 また、5年ぶりのリニューアルとして、10月に発売するミラーレス一眼カメラ「α7S III」は、新開発イメージセンサーと新画像処理エンジンの採用により、すでに映像クリエイターから高い評価を得ているプロフェショナル向けの商品だ。

映像のリモートソリューション事業領域の拡大
映像のリモートソリューション事業領域の拡大

 「1985年に『ハンディカム』を発売して以来、長年に渡って培ってきた動画の技術と、『α』シリーズの静止画の技術を融合した最強の機器になる。オンライン教育やオンライン診療などにも提案できる商品になる」とし、技術力の高さとともに、新たな時代における用途提案にも取り組む考えを示す。

 高木氏は、「プレミアムモデルはあまり景気に左右されない。求められるコンテンツの変化や、環境に応じた変化に対応することで、成長を遂げることができる」とする。北米では、ソニーの75型以上の大画面テレビの販売が好調であり、これも「ブラビア」ならではの高画質、高音質という高い付加価値が、市場環境の変化に応じた提案につながっている事例といえる。

 そして石塚氏は、「ヒット商品の創出は、我々の『伝統芸能』であり、そこにはこだわっていきたい。失敗もあるが、挑戦し続け、ヒット商品を出していく」と、ソニーらしいモノづくりに意欲をみせる。

 石塚氏は、かねてから、「パーソナル・エンターテインメント・ソリューション」という考え方を明らかにしている。その詳細については明らかにしていないが、ソニーが強みとしているAV、カメラ、そしてネットワークを統合し、そのメリットが出せるようなものといえる。

 「たとえば、スマートフォンとカメラを、どのように融合していくかを考えている。カメラと通信の完全融合を目指すことを考えたい。本格的なカメラ事業と、スマホ事業の両方を有している企業はソニー以外にはない。この2年間に渡って、苦労をして再生してきた通信事業と、カメラ事業やプロフェッショナルソリューションなどの領域に、継続的な開発投資を行い、短期的、長期的な視点から、技術開発と商品開発を強化していきたい」とする。

最終顧客を知っているからこそできるBtoB「強化はするが、シフトは考えていない」

 その一方で、収益確保という点では、2つの領域から、ソニーのエレクトロニクス事業を捉えておくことも必要だろう。

 ひとつは、リカーリング事業の拡大である。ここ数年、ソニーでは、リカーリング事業の拡大を、安定収益確保に向けた重要な柱のひとつにあげてきた。これは、ソニーエレクトロニクスにおいても同じだ。

 ここでは、ソニーネットワークコミュニケーションズの通信ネットワークサービスなどや、αユーザーに対するレンズをはじめとするアクセサリーの販売などがあたるが、これ以外にも新たなリカーリング事業を模索していくことになりそうだ。

 「リカーリング事業は、安定的な基盤を築き、継続性を担保できるが、それが立ち上がるまでには時間を要する。新たなリカーリング事業を立ち上げるには長期的な取り組みが必要である。収益を安定化させた上で、チャレンジスピリットに基づいて、じっくりと取り組んでいく」(石塚氏)とする。

 もうひとつは、BtoBへの取り組みである。これまでにも放送局向けのビジネスや、テレビやプロジェクターの法人向けビジネスも行ってきた経緯はあるが、先に触れたホークアイなども、BtoB領域のビジネス拡充につながる事業と捉えることができる。

 石塚氏は、「BtoBは強化していくが、BtoBシフトは考えていない」と位置づける。

 「高性能な先端技術は、まずは、企業での活用や、プロフェッショナル領域から入っていくことになる。その点で、BtoBが果たす役割は重要である。だが、ソニーの強みは、コンシューマーをよく理解しているという点である。これがほかのBtoB企業とは異なる。常にエンドユーザーを意識しているなかでBtoBのビジネスに取り組むことは、ソニーの強みにしていかなくてはならない部分である。社内には、BtoBtoCを持っているからこそ、BtoBの事業が展開できるといっている。最終顧客を知らずして、法人向けに機材を売るということはない」とする。

 また、「時代の要請にあわせて、BtoBの比率があがるということがあったり、戦略的にBtoBのある領域に力を入れていくことはある」とも語る。

 なお、ソニーエレクトロニクスでは、テレビおよびプロジェクターにおいて、コンシューマとノンコンシューマのチームを統合したが、これについては、「同じ技術のプラットフォームをベースにして、BtoBも強化していくということを狙った」と説明した。

 「ソニーのエレクトロニクス事業は、『SONY』のブランドを冠としているビジネスが中心であり、最終的にはエンドユーザーに訴えるようなエンターテインメントのソリューションを売ることが中心となる」と、改めて強調した。

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