ウイグル人イスラム教徒に対する抑圧的な監視から、14億の国民に対する日常的な統制まで、中国型の顔認識技術モデルは国際社会にとっても脅威になるという声が、米国の議員から上がっている。
2019年9月、シンクタンクのCarnegie Endowment for International Peaceは、中国がAI監視技術の最大の供給元であり、その供給先は少なくとも63カ国にのぼると発表した。AI監視技術のプロバイダーとして、中国以外の企業で大きいのは日本電気(NEC)で、同社は顔認識技術を14の国に向けて販売しているという。
2020年4月には、Amazonが中国の監視技術企業、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)からカメラを購入したとReutersが報じた。ダーファは、中国によるウイグル人イスラム教徒の監視と抑留に加担しているとして、米国では規制対象となっている企業だ。
Reutersの報道によると、Amazonは新型コロナウイルス対策で従業員の体温を測定するために1500台のカメラを購入し、その額は1000万ドル(約11億円)にのぼったという。
米上院議員17人が3月11日に送った書簡では、中国が顔認識技術の世界最大の輸出国である状況で、その技術の使われ方に対する中国の影響がどうなのかという問題も取り上げていた。
Amazon(「Rekognition」を提供)やMicrosoftなど米国のテクノロジー企業大手にとって、顔認識技術は副次的にすぎないことが多いが、中国では既に複数の企業によってこの業界の寡占化が進んでいると、Wang氏は指摘する。中国は監視国家として自国を容認していることから、顔認識技術のプロバイダーは、ごく些細な用途まで含めて、その技術を推し進めることができるのだ。
こうしたレベルの影響をふまえて、中国の顔認識技術の使い方が、世界の他の国にまで広まるのではないかという懸念が出ている。広範囲にネットワークを張りめぐらせて、国民を辱め統制するという使い方だ。
米議員らは3月の書簡で以下のように指摘した。「残念ながら、中国は標準制定団体をいびつな形で利用し、全体主義的な監視技術に向けた世界的な見方を定着させようという意志を明確に示している。AIと顔認識技術の合法的な利用について議論を醸成すれば、特に発展途上国で中国の監視技術が使われる機会を広げることができるのだ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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