新型コロナウイルス(COVID-19)が、私たちの生活を一変させた。しかも世界レベルで。この状況を去年のクリスマスにイメージできた人間は、世界でもほんの一握りであろう。
そんな中、2020年、オリンピックを押しのけて新型コロナが我々に突きつけたのは、「ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保て」というコマンドだった。
ヒト、モノ、カネが国境を越えて縦横無尽に行き来するグローバルの世界において、その全ての動きを止める必要にせまられている。
但し、デジタルは別。バーチャルの世界では、世界の情報が今まで以上に行き来しているのである。
例えば、会社にも行けない。打ち合わせもできない。でもTV会議やネットワークツールを駆使して経済活動を可能な限り途絶えさせない涙ぐましい努力が続けられて いるのである。
リモートワークが世界中で推奨されている今、デジタルワールドはかってないほどの重要性を高めてきていると言っていい。
新型コロナは、世界中の社会の仕組みを大きく変えてしまうトリガーに指をかけているようだ。この「ソーシャルディスタンスを保つ」流れが2年続くという人もいる(リンク)。
もし、こんな状況が世界規模で2年も続けば、元に戻れない流れや、新たな常識を固定化していくことだろう。それは、グローバル化の断絶なのか?デジタル世界に軸足を置いたネオ・グローバル化となるのか?今はまだ分からない。
ただ一つはっきりと言えるのは、デジタルサイドが今よりももっと力を持つであろうということだ。リアルを代替できるものは、容赦なくデジタル化されていくはずだ。代替できないリアルなモノやサービスはコスト高となっていくだろう。
そんな中デジタル化されたエンタメ業界、ゲーム業界は、短期的には巣ごもり需要によって業績がアップしたところが多い(リンク1、リンク2)
しかし、この深刻な状況が長期化していくのであれば、コンテンツ開発・リリースが遅れることによって業界に深刻なダメージが出てくるのは必須だ。つまり、デジタルコンテンツ化が進んでいるエンタメ業界においても、その構造改革の圧力は、他業界と同様だと考えてもいい。
面白い動きも出てきている。WHOとゲーム業界が手を組むという、今までの状況を知っている人が見るとちょっとびっくりの取り合わせで、コロナに対して一致した 「#PlayApartTogether」というキャンペーンを打ってきている。
危機に強い組織とはどのようなものだろう。中国的な中央集権型で強い強制力を伴う組織がいいのか。民主主義的な権利を守る体制には限界があるのか。
いずれにせよ今後この問題に対して、我々は真剣に取り組み始ていくに違いない。私はブロックチェーン的な組織が危機に強いと考える。
「#PlayApartTogether」キャンペーンもそうだが、目的に応じてゲリラ的に集合してはまた散っていく。しかも個々が高度なCPUを持つ組織。高度な洞察力を持った個々が複雑にカオス的に存在し、危機が訪れるとあっという間に連携するというシステムだ。柔軟かつ強力な連携が肝であると言えよう。
コンピュータウィルスに対抗するためのサーバー分散や、セキュリティー向上のためのブロックチェーン化も同様である。
資本主義の根幹は「利潤の追及」だ。年次決算や4半期決算などの短期的利潤の追求に最適化された現在の資本主義では難しいかもしれないが、ブロックチェーン的な仕組みが自然と出来上がるための新たな法則を生み出すことができれば、危機に強い社会システムが構築可能かもしれない。
そう言った意味で、同じ目的を共有し進むことができた「#PlayApartTogether」キャンペーンから学ぶ点が多いのではないかと考えている。
この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。
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