AppleのMacにとって幸先のよいニュースだ。富士通と理化学研究所(理研)が共同開発したスーパーコンピューター「富岳」が世界最速となった。理研の計算科学研究センターに設置されている同スパコンは、AppleがMacに採用予定のArmファミリーに属するプロセッサーを搭載する。
富岳が搭載する富士通の「A64FX」プロセッサーは、現在のスマートフォンや将来のMacに搭載されるさまざまなArmプロセッサーに比べ、大規模で消費電力も大きい。しかし富岳は、Arm搭載マシンが性能の高さでトップに立てると証明してみせた。
ハイエンドのMacは、2006年から採用してきたIntel製チップでないと競争力を保てないと懸念する人々にとって、これはうれしいニュースだ。Appleは米国時間6月22日、開発者会議「WWDC」でArmベースの独自CPUをMacに搭載すると発表した。
富岳は今回、415.53ペタFLOPS(1ペタFLOPSは毎秒1000兆回の浮動小数点演算を実行できる性能)を記録して、スパコンランキング「TOP500」の首位に立った。これは、2位に後退したIBMの「Summit」スパコンの3倍近い数値だ。ただし消費電力も3倍近く、Summitの10.1メガワットに対して富岳は28.3メガワットとなっている。米国のエネルギー消費率でいくと、1メガワットは1000世帯をまかなえる電力に相当する。
富岳は、いわゆるエクサスケールのスパコン開発競争における大きな成果だ。エクサスケールとは、富岳の約2.5倍に当たる1エクサFLOPS(浮動小数点演算を毎秒100京回行える性能)を超える計算能力を指す。米エネルギー省は、2エクサFLOPSのマシン「El Capitan」の開発と製造に向けてHewlett Packard Enterprise(HPE)とAMDに資金を提供しており、2023年に稼働開始となれば、このEl Capitanが世界最速のスパコンになると予想される。
TOP500リストは年2回、スーパーコンピューティングの国際会議に合わせて更新されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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