このアプリを使えば、パリのガイド付きツアーに一緒に参加したり、瞑想を練習したり、チェッカーやチェスで対戦したりできる。高齢の親族を実世界さながらの冒険に連れて行くことも可能だ。無料でダウンロードして、今すぐ使用することができ(ただしVRヘッドセットのOculus Goが必要。価格は149ドル、日本では税込1万9300円から)、広告も表示されない。だが、コンテンツがさらに増えれば、AARP Innovation Labsは今後、より優れたVR体験を対象に課金システムを導入する可能性もあるので、最高のツアーを体験したければ、数ドル支払うことになるかもしれない。
この新しいメディアによってつながりを見出すことができれば、仮想の要素のおかげで、孫の世代たちが、もっと祖父母と一緒に時間を過ごしたいと思うようになるかもしれない、とWindrem氏は言う。
「若い世代が、この新しいテクノロジーに大きな魅力を感じていることは分かっている。彼らがこの新しいメディアを通してつながりを見つけ、誰もが共感できる体験を通じて、VRへの強い関心を自分たちの好むやり方で高齢の家族と分かち合えるのは、素晴らしいことだ」(同氏)
しかし、食料品の買い出しや家事の手助けなど、VRでは提供できない物理的な生活援助を必要とする高齢者は、どうすればいいのだろうか。
高齢者が利用できる選択肢の1つに「Papa」というサービスがある。これは、高齢者を「Papa Pal」とマッチングすることで、「ファミリーオンデマンド」(必要なときに手助けする家族)を提供するサービスだ。Papa Palとは、食料品の買い出しや車の運転などの用事に付き添って高齢者を援助する大学生のことで、これらの学生には報酬が支払われる。
PapaのCEO、Andrew Parker氏は、助けが必要であるにもかかわらず孤立していた祖父からインスピレーションを得て、同サービスを開発した。祖父は車の運転はしなかったが、従来の在宅介護サービスを必要とするほどでもなかった。Papaは2018年に立ち上げられ、現在25の州でサービスが提供されており、その範囲は拡大し続けている。Parker氏によると、同社のプラットフォームには、7000人以上のPapa Palがいるという。
大多数の利用者は、保険会社や「Medicare Advantage Plan」という米国の健康保険プログラムを通じて、無料の特典としてPapaを利用できる。一方、Papa Palの方は素性調査と審査のプロセスを経なければならない。Parker氏によると、応募者のうち、採用されるのは10%以下だという。とはいえ、Papa Palは作業の種類に応じて、時給12ドル~16ドルを稼ぐことができる。同社は現在、応募資格者を大学生以外にも拡大している。新型コロナウイルスの影響で失業率が急激に上昇したことも、その理由の1つだ。
大抵、高齢者のもとにPapa Palが訪問するのは、週に1~2回で、作業には、食料品の買い出し、医師の診察への車での送迎、デバイスなどのセットアップ方法を教えることなど、あらゆることが含まれる。家族に負担をかけたくないので、結婚式に付き添ってほしい、とPapa Palに頼んだ利用者もいる。「ツール・ド・フランスに参加したことのある別の利用者は、一緒に自転車で走ってほしいとPapa Palに頼み、あっという間にその大学生を追い抜いたということもあった」(Parker氏)
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