MyndVRの最高経営責任者(CEO)Chris Brickler氏によると、高齢者は施設などのコミュニティーで他者に囲まれて暮らしていても、徐々に引きこもって、孤立していく可能性があるという。「年齢や病気によって高齢者の刺激は低下するので、彼らが刺激を受けつつ何かに没頭し続けられるように、われわれはほかの方法を見つける必要がある」(Brickler氏)
MyndVRのヘッドセットとプラットフォームは、高齢者向け施設や自宅に住んでいる高齢者を対象に、200以上の仮想旅行やレクリエーション、音楽、芸術体験を提供している。Brickler氏によると、これらの体験は、過去の断片を思い出させる回想療法として、または、施設のほかの高齢者や家族とつながるエンゲージメント(結びつき)療法として機能する可能性があるという。
「毎週、同じ会話を繰り返す家族を見てきた。そういうことをやっていると、面会が徐々に退屈になっていく」(同氏)
何か一緒にできる新しいことがあれば、面会の場に新たなエネルギーが吹き込まれ、高齢者はもっと実のある会話をするチャンスを得られる、と同氏。
従来の形式の療法の費用は、通常、1セッションあたり100ドル~200ドル(約1万1000~2万1000円)だ。Brickler氏によると、MyndVRのプラットフォームのシングルユーザーライセンスは年額1000ドル(約11万円)以下で、施設向けパッケージのマルチユーザーライセンスだと、平均で年額約5000ドル(約53万円)だという。年間料金には、ハードウェア、VRコンテンツのライブラリー、顧客サポート、技術サポートが含まれ、現在、MyndVRには、40の州に数万人のユーザーがいるとのこと。
AARP Innovation Labsという企業のように、VRを使用して高齢者が家族とのつながりを維持できるようにするサービスを、低料金で提供している企業もある。
同社の最新の製品である「Alcove」は、高齢者が親族と集まって話をしたり、ゲームをしたり、さまざまな体験を楽しんだりすることのできる、VRの「家」だ。
同社のVR責任者で、Alcove担当プロダクトリードのCezara Windrem氏はVRについて、ほかのテクノロジーにはない臨場感と没入感を提供すると語る。「費用や時間、移動の制約を乗り越えて、家族が集まることを可能にする」(同氏)
AARP Innovation Labsは、高齢者の暮らすコミュニティー向けにVR体験を提供するスタートアップのRendeverとの提携の下、Alcoveを開発した。2019年に発表した最初のバージョンのAlcoveは、「Oculus Go」プラットフォームで無料で利用できる(2020年夏に「Oculus Quest」にも登場する予定)。
高齢者は一度に最大4人を招待して、仮想環境の中で、木々や草に囲まれた山中の別荘風の家に集合し、完全に没入することができる。4つの部屋を試せるほか、自分たちの写真を家に飾ることも可能だ。
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