さらに、仕事もプライベートも同じ場所で過ごすので、ワークライフバランスを保つのが難しくなったという労働者もいる。クラウドコミュニケーションプロバイダーの8x8が実施した別の調査では、英国の労働者のほぼ半数がオフィスにいる時よりもストレスを強く感じ、デジタル過多で仕事と家庭生活の境界が曖昧になり、気持ちを仕事から切り離すのが難しいと答えた。回答者の18%はさらに、在宅勤務になってから労働時間が長くなったと答えた。
「われわれは現在、学習しているところであり、改善していくだろう。この8週間で確実に多くを学んだ。会議は短く、必ず休憩を取り、散歩も必要だ。新たな働き方を構築する必要がある」とFrederiksen氏は語った。
「だが、決定的に重要なのは、技術的な環境整備だ。どこにいるかによって生産性と接続性に違いがあってはならない」(同氏)
準備不足が原因で在宅勤務に適応するのが困難だという労働者もいる。英国の従業員の半数以上が、パンデミック発生以前に在宅勤務をした経験がなかった。また、従業員が自宅で効率的に働くために必要なツールを提供できない企業もあった。
例えば、回答者の3人に1人は、会社はノートPCなど、必要なハードウェアを供給してくれなかったと回答し、パンデミック当初、重要なソフトウェアに接続できなかったため、家から仕事ができなかったという回答も同様の比率だった。
だが、最も高いハードルは文化的なものだ。多くの労働者はウェブ会議は非常にやりやすいと言うが、ロックダウン以後、同僚とのコミュニケーションはロックダウンの影響を受けたとも感じている。例えば、Oktaの調査に参加した英国労働者の約60%は、同僚と直接会って会話できないことを寂しいと感じている。
フルタイムでオフィスに戻りたいという従業員は少ないが、完全に在宅勤務でいたい従業員も同様に少ない。企業はオフィス再開に当たっては、従業員のさまざまなニーズに対応する柔軟性を示す必要があるだろう。
OktaのFrederiksen氏によるソリューションは、オフィスと自宅のハイブリッドにある。同氏は未来のオフィスについて、会議をしたり同僚にアドバイスをもらったりするなど、必要な時に向かう快適な場所になるとみている。毎日通う場所にはならない。
Facebookは最近、従業員に対し、ほとんどの従業員は年内在宅勤務を続けていいと伝えた。不動産検索会社のZillowや保険会社のSagicorもこれに続いた。Twitterの最高経営責任者(CEO)Jack Dorsey氏は、オフィスが完全に再開してからも、従業員が永続的に在宅で勤務することを認めると発表した。
Frederiksen氏によると、Oktaは「すぐに」オフィスに戻る計画はないという。同社は、英政府が企業にゴーサインを出せばオフィスビルを再開するが、スタッフが戻るとは考えていない。「魔神は魔法のランプから飛び出してしまった。企業が週5日出勤制を復活させるのは非常に難しいだろう。後戻りはできない」と同氏は結論づけた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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