新型コロナウイルスの流行によって、これまで使われていなかった業務にビデオ通話が導入される事例が増えている。そんな中、シンガポールの高等裁判所がおそらく初めて、ビデオ会議ツールの「Zoom」を使って死刑を宣告したと報じられている。
シンガポールの新聞Straits Timesの報道によると、この判決はマレーシア人のPunithan Genasan被告に対するもの。同被告は2011年、28.5kgのヘロインの密売を手助けしたのち、違法な薬物使用を一切容認しない国として知られるシンガポールからマレーシアに帰国した。だが、2016年に身柄をシンガポールに引き渡され、有罪を言い渡されていた。そして現地時間5月15日、高等裁判所の裁判官、被告、および弁護団との間でZoomを使って行われたリモート裁判で死刑を言い渡された。
死刑の宣告がビデオ通話を介して行われたことに対して、Genasan被告の弁護士は異議を唱えなかったとReutersは報じている。
2月末から3月にかけて、欧米の多くの国で新型コロナウイルスの感染拡大阻止を目的とするロックダウン(都市封鎖)が行われて以来、Zoomが採用される事例が急増している。その結果、このソフトウェアがどのような業務に適しているのか、あるいは適していないのかについてさまざまな疑問が持たれることになった。GoogleやSpaceXなどの企業は、セキュリティ上の懸念から従業員にZoomの利用を禁じており、インド政府も同様の措置を講じている。また、ニューヨーク市内の学区やシンガポール全土の学校で教える教員は、このソフトウェアの利用を禁止されている。
特に問題となったのは、Zoomから視線をそらせている参加者に注意を促す注意トラッキング機能(4月に削除済み)や、いわゆる「Zoom爆撃」の急増だ。後者は招待されていない第三者が乱入して会議の進行を妨げる行為のことで、憎悪に満ちたコンテンツや性的な画像が流されるケースが多い。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス