新型コロナウイルス感染症によって、仕事の様式の変革やリモートワークの実践が促進され、多くのケースで経営者は事業をなんとか維持するために業務形態を見直す必要に迫られている。
残念ながら従業員の解雇に踏み切る企業がある一方、世界中で実施されているソーシャルディスタンシング(社会的距離の確保)のために、可能な限り多くの従業員にリモートワークを求める企業もある。
筆者の住む英国では、ロックダウンは徐々に緩和されつつある。旅行禁止が解除され、従業員の職場復帰も許されつつあるが、オフィスを完全に再開するまでに、ソーシャルディスタンシングと衛生基準の強化は今後も推奨され続けるだろう。従って、企業規模を問わず、経営者は今、ワークフローの中断を最小限にしつつソーシャルディスタンシングと清潔さを確保するためのさまざまな方法の実装について検討し始めるべきだ。
ここで紹介するのは、企業がオフィスを再開する前に検討すべきソリューションや製品だ。
ソーシャルディスタンシングとして推奨する間隔は国によって異なるが、今のところ2mというのが多くの国の基準だ。
これは、いわゆるオープンオフィスの終わりを意味する。そして、かつて一般的だった間仕切りやキュービクルが復活する可能性がある。だが、現在オープンオフィス仕様にしている企業がソーシャルディスタンシングを守り、新型コロナウイルス感染のリスクを軽減するには、根本的なオフィスレイアウトの変更が必要になる。
企業経営者は少なくとも当面は、従業員のために壁や間仕切りを購入してオフィスをキュービクル設計に戻すことを検討すべきだ。例えばVersareは大規模な組み立てが不要で、早く簡単に組み立てられるキュービクルパーティションを提供している。
Versareの「Hush Panel」は、軽くて防音性のある布パネル、陽極酸化アルミ製フレーム、多様なサイズの透明なポリカーボネート板の窓パーツで構成されており、道具や大変な作業なしに簡単に組み立てられる。
カスタムデザインが不要、または低予算で済ませたい場合は、Staplesも既製のパネルやキュービクルを販売している。
今後オフィスで求められるのはソーシャルディスタンシングだけではない。新型コロナウイルスのパンデミックで、われわれは日常の衛生状態を再考せざるを得なくなり、接触と感染拡大の可能性について意識するようになった。
社内でのちょっとした情報共有や、従業員が新型コロナウイルス関連規則あるいは企業ポリシーの推奨事項の変更に気付くようにする方法の1つは、デジタルサイネージの採用だ。清掃当番の表示や従業員同士の距離を保ったり適切な衛生習慣を持続したりするよう呼び掛けることにも活用できる。
従来のホワイトボードや紙にペンで描く張り紙から、モバイルアプリで操作するデジタルサイネージに切り替えることで、 頻繁にホワイトボードや壁に触らずにリモートで告知を管理できるようになる。
例えばRaydiantは、HDMI接続で簡単に起動する1画面製品から複数台を管理できる企業向けプラットフォームまで多様な製品を扱っている。インターネット接続式サイネージなら、マーケティング素材や製品リスト、スタッフのメッセージなどの表示切り替えをオペレーターがリモートで行える。
企業が正常稼働に戻る過程で選べるオプションとして、従業員のシフト制勤務の検討を勧める。
従業員のオフィス滞在時間帯をずらせば、オフィスに同時にいる人の数が減ることになり、ソーシャルディスタンシングを維持しやすくなり、新型コロナウイルスの感染リスクも低くなる。
この解決法はどんな業種の職場でも可能なわけではないが、可能な職場では、適切に計画すれば実現可能だ。
そこで、従業員のシフト管理アプリの出番だ。例えば9時から5時までというような標準的な就業時間をシフト制にする場合、オフィスに常に必要な人数のスタッフがいるようにするのは難しい。
「WorkSchedule.Net」はウェブおよびモバイルの従業員スケジューラーアプリで、スケジュール変更、アラート、休暇願機能などを搭載する。「タイムブロック編集」機能を使えば、従業員の一括変更ができる。また、作成したスケジュールは、 PayChex、SurePayroll、ADP、QuickBooksなどの給与計算ソフトウェアに直接インポートできる。WorkSchedule.NetにはAndroidおよびiOSのアプリがある。
オフィス閉鎖で、多くの従業員が一時解雇されないまでも在宅勤務を強いられている。そのため、既にウェブカメラ、マイク、ヘッドセットなどの在庫が不足しているが、今後テレビ会議が標準になるのであれば、業務品質を維持するために、従業員のための関連機材への投資が必要だ。
新型コロナウイルスの発生によって、1度に職場にいられる人数が制限され、ソーシャルディスタンシングやシフト制勤務が普及すれば、リモートワークがこうした移行をより簡単に管理する方法になる。
企業規模の大小を問わず、経営者は自分の会社に最も適したテレビ会議ソフトを検討する必要がある。機能制限のある無料版よりもサブスクリプション製品を検討することになるだろう。また、どのヘッドセット、マイク、ウェブカメラを購入すればすべての従業員がオフィスの外で就業するのに必要なものが揃うのかも考えなければならない。
Ohmnilabsが提供しているようなテレプレゼンスロボティクス技術は、まだかなり未来的なアイデアにみえるが、リモートワークとソーシャルディスタンシングが求められる時代に有効な投資になるだろう。
テレプレゼンスロボットとは、現在われわれが日常業務に取り入れているテレビ会議のアップグレード版だ。こうしたロボットは、デスクに縛られずに、ユーザーの存在や会議を自動的に追跡する。例えば、リモートで会議に参加するユーザーに、リアルタイムで高品質な会議を提供する。
「Ohmni Supercam」は、そうしたテレプレゼンスロボットの1つだ。高さは約122cmで、超広角の1300万画素カメラを搭載し、ディスプレイは上下130度の幅で角度を調整できる。1回の充電で5時間以上のビデオ通話が可能で、自動ドッキング技術を採用している。重さは約8kgで持ち運び可能だ。
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