人と直接会うことが以前ほど簡単ではなくなった昨今の世界で、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)は突如、その重要性が見直されるようになっている。Microsoftの「HoloLens 2」などのデバイスは、重要な役割を担う絶好の立ち位置にいるようだ。年次開発者会議「Build」(2020年はバーチャルで開催された)において、Microsoftは複合現実(MR)に関する発表を行ったが、当然のことながら、「HoloLens」関連のニュースが中心だった。同社はより大規模なARクラウドツール群を徐々に拡大していく取り組みを続けている一方で、今回、ドングルを介してという形にはなるが、HoloLens 2に5Gのサポートを追加する。
MicrosoftのMR担当ディレクターのGreg Sullivan氏は、高額なHoloLens 2の提供範囲の拡大など、今後予定されている変更について説明した。2019年11月の発売以来、MicrosoftはHoloLens 2の具体的な販売台数を明かしていないが、2020年中にさらに多くの国で発売する見通しだ。具体的には、秋までにオランダ、スイス、スペイン、オーストリア、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、ベルギー、ポルトガル、ポーランド、シンガポール、韓国、香港、台湾での発売が予定されている。Microsoftは今夏、オンラインの「Microsoft Store」でもHoloLens 2の販売を開始するという。とはいえ、HoloLens 2は依然企業向けであり、一般ユーザー向けではないことに注意してほしい。
筆者は1年前にHoloLens 2を使用する機会を得たが、最も印象に残っているのは、HoloLens 2に遠隔地からの指示が表示され、本物の工具を使って全地形対応車(ATV)を修理するというデモだ。MicrosoftのSullivan氏によると、このようなリモートガイダンス機能を提供する「Dynamics 365 Guides」は、HoloLens 2で飛び抜けて人気の高いアプリだという。
HoloLens 2のソフトウェアアップデートにより、同ヘッドセットを遠隔地の作業者に展開したいと考えている企業は、リモートによるセットアップとプロビジョニングがより簡単になるツールを利用できるようになる。さらに、このアップデートには、音声制御ツールの追加とハンドトラッキングの改善のほか、接続されたUSBドングル経由での5GまたはLTEサポートも含まれる。これまで、HoloLens 2はWi-Fi経由で使用する必要があった。
このような遠隔地からの作業支援は間違いなく今後のARの利点であり、ほかの企業もすでに遠隔医療や地図などでそれを試している。だが、MicrosoftのARサービスは依然としてHoloLensにかなり重点を置いている。
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