米国の大統領選に向けた候補者指名争いで、Bernie Sanders氏が撤退を表明したことにより、元副大統領のJoe Biden氏が現職のDonald Trump大統領に対抗する民主党候補となることが確実視されている。新型コロナウイルスの世界的な流行と、今後何カ月にも及ぶその影響が政治的論争の中心になる見込みは高いが、テクノロジーの問題も無視はできない。
予備選挙の期間を通じ、テクノロジーは重要な役割を果たしてきた。民主党の各指名候補者は、ネット中立性や地方へのブロードバンド普及、オンラインプライバシーについて議論している。COVID-19の世界的な流行で、学校が閉鎖され、経済が停滞するなか、私たちの多くはオンライン診療といった現実を受け入れざるを得なくなっているが、そういった現状が、私たちの生活におけるテクノロジーの重要性を浮き彫りにしている。
テクノロジーへの関心が、11月の大統領選で結果を左右することはないかもしれないが、今後4年間に、こうした重要な問題について決められていく政策は、米国民に大きな影響を及ぼすだろう。
ほかの候補者と違い、Biden氏はテクノロジーに関しては、あまり話題にしていない。同氏の立場について分かっていることを、以下で紹介していこう。
民主党の一部の候補者と違って、Biden氏はネット中立性についても多くを語っていない。逆にSanders氏とElizabeth Warren氏は、立候補早々から、ネット中立性を強く支持すると表明していた。
Biden陣営の広報担当者は、Biden氏がネット中立性の保護を強く支持していると話す。
「Barack Obama政権の副大統領として、Joe Bidenが誇りに思っていたのは、ネット中立性を要求したこと、(連邦通信委員会:FCCに対して)全国民にとってインターネットをオープンに、自由に保つための直接的な行動を取らせたことだ」と、広報担当者は声明の中で語っている。Biden氏は、Trump政権でオープンインターネット規則が廃止されたことを知ったときには憤慨していたという。
だが、Biden氏のこれまでの実績を見ると、話は違ってくる。上院議員時代、同氏がネット中立性の立法を共同提案あるいは支持したことは、2007年のInternet Freedom Preservation Act(インターネットの自由保護法案)のときも含め、一度もなかったからだ。他の有力な民主党員、例えば当時上院議員だったBarack Obama氏やHillary Clinton氏、さらにはSanders氏も、同法案の共同提案者として名を連ねていた。
Biden氏は、Comcastの幹部とも親密な関係にある。Comcastは、厳格なネット中立性規制に反対するロビー活動で知られている大手ケーブルテレビ会社だ。同社のシニアバイスプレジデントDavid Cohen氏は、Biden氏が大統領選出馬を宣言したのち、最初の資金調達イベントを主催した。
「ネット中立性に関するBiden氏の実績は、控えめに言っても、疑問が残るものだ。ComcastやVerizonなどの企業は、何年にもわたって民主党にも共和党にも、多額の資金を提供している」。草の根運動組織「Fight for the Future」の副本部長を務めるEvan Greer氏は、こう話す。
とはいっても、これらはBiden氏の立場を示す具体的な証拠にはならない。Obama氏も、電気通信法の第II編に基づいてブロードバンドに関する規制を厳格化するよう最終的にYouTube動画で訴えたときまでは、Comcastとともに資金調達イベントを開催したこともあった。それも注目すべき事実だろう。こうした厳格な規制では、ブロードバンドを公益事業、例えば旧来の電話回線網と同じように扱う。大統領時代のObama氏は2013年、Comcastの最高経営責任者(CEO)、Brian Roberts氏とゴルフにも行っている。
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